地域の情報を全国に発信する取り組みにはさまざまな形がある。中には意外な本業の傍ら、地域を盛り上げようと頑張る人たちもいる。「自分の生まれ育った場所を盛り上げたい」そんな思いの女性が鹿児島にもいた。

JAL客室乗務員のもうひとつの顔

鹿児島・薩摩川内市でウナギの養殖や加工などを手がける「薩摩川内鰻」。ノートを片手に、ウナギの養殖について熱心に取材していたのは吉村真鈴さん(27)。

ウナギの養殖について熱心に取材
ウナギの養殖について熱心に取材
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吉村さん「ウナギを育てる上で何が大変ですか?」
スタッフ「生き物なので機械トラブルが一番怖い」

情報誌の記者のようなたたずまいだが、実は吉村さんは日本航空の客室乗務員だ。なぜ客室乗務員がウナギの取材をするのか。その理由は吉村さんの現在のもうひとつの肩書「JALふるさとアンバサダー」にあった。

「JALふるさとアンバサダー」とは、コロナ禍に見舞われ旅客機の減便が相次いだ2020年、客室乗務員が活躍する機会を設けようと始まった制度。

地域活性化のために仕事をしたいという客室乗務員が、自身のふるさとやゆかりのある土地に移住し、その地域ならではの商品開発に取り組んだり、地域の魅力を発信したりする。現在、国内で約20人が活動中で、鹿児島市出身の吉村さんは、自ら手を挙げて2023年10月に就任し、鹿児島地区担当としてふるさとに帰ってきた。

吉村真鈴さんは自ら手を挙げ、JALふるさとアンバサダーに
吉村真鈴さんは自ら手を挙げ、JALふるさとアンバサダーに

「『新しいことにチャレンジしたい』というのが一番の衝動で手を挙げたが、やはり鹿児島は自分の生まれ育った場所なので、盛り上げたいという気持ち」と、きっかけを語る。

動画撮影に司会まで担うアンバサダー

この日の養鰻場の取材も情報発信の一環。日本航空のウェブマガジンに「鹿児島の食」を紹介する記事を書くためだった。

高校まで鹿児島で育った吉村さんだが、取材のたびに発見があるという。今回の取材では、想像していないほどの数のウナギが薩摩川内市にいるということに驚いたといい、「さすが養殖量日本一だ」と感じたと話す。

熱心な取材に薩摩川内鰻・養殖部の川野弘幸課長は「できるだけ多くの皆さんに、薩摩川内鰻を知ってもらえれば一番ありがたい」と期待を話した。

アンバサダーの仕事は多岐にわたる。
就任して約5カ月。吉村さんはこれまでに、台湾での奄美群島PRや、枕崎の観光PR動画撮影などを手がけてきた。2024年1月には、日本航空が東京都内のレストランとコラボし、鹿児島県北部の食材を使った料理を提供するディナーイベントで司会も務めた。

ふるさと鹿児島への思い語る

養鰻場の取材から3週間。

記事の執筆に取りかかっていた吉村さんに、文章を書くのが得意だったのか聞くと、「全く得意ではないです(笑)。大学は文学部なんですけど、苦戦しながら頑張っています」との答えが返ってきた。

鹿児島の魅力を発信するため力を注ぐ吉村さん。コロナ禍も落ち着き、客室乗務員の業務も元に戻ってきた今、ふるさとアンバサダーに手を挙げたのには、ふるさと鹿児島への思いもあった。

JALふるさとアンバサダー・吉村真鈴さん:
客室乗務員だけしか知らない自分が、いずれコンプレックスになると思って、ほかのことも挑戦したい、でも機会がない、と思っていた時に、ちょうど(ふるさとアンバサダーの)鹿児島採用があった。これは逃してはいけないと思った。大学生の時、帰省する際は、いつも鹿児島のおいしいご飯を食べるのがとても楽しみだったので。鹿児島の一番好きなところは食文化にあふれたところ

ふるさとアンバサダーの任期は1年。残り半年余りとなったが、吉村さんはもう1年延長したいと考えており「1年間で勉強して関係作りをして、2年目に実行と考えている」と、力強く語った。

ふるさと鹿児島を思う吉村さんの奮闘はこれからも続く。

(鹿児島テレビ)

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