障害者の就労支援を行う事業所が、障害者の賃金を支払わず閉鎖した問題が判明。埼玉・越谷市の事業所を利用していた女性が取材に応じ、悲痛な胸の内を明かした。
事業所の運営に市は約100万円を給付
被害女性(50代):
働いた分も支払ってもらえないというのが、一番つらいですよね。悔しいですよね。もう諦めるしかないのかなって。
こう訴えるのは、体の一部に障害のある50代の女性。時給930円で毎日2時間、ペットショップなどに販売するメダカの世話をして賃金を得ていたという。
今回閉鎖されたのは、一般企業などに就職が難しい障害者を支援する就労継続支援所で、「ベル・エンプロイメント・サポート」という会社が埼玉県内で展開していた。
越谷市の閉所した事業所は、表札自体は残っていたが、名前を隠すように上からテープが貼られていた。そばにあるインターホンも故障してしまっているようだ。
利用者に事業所の閉鎖が伝えられたのは、2023年5月25日の朝礼だったという。
被害女性(50代):
朝の朝礼みたいなのがあるんですけど、その時に「突然だけど今日でここを閉めるので」って。でも、6月何日かまでは開いているので、来たい方は来てもいいけど「工賃(賃金)は出ません」っていうことを朝礼で言われました。
女性は事業所の閉鎖の知らせとともに、4月と5月の2カ月分の賃金約8万3千円が支払われていないと話す。
越谷市によると、事業所は5月末に事業所の廃止届を市に提出し、6月8日に閉鎖された。閉鎖の理由について「経営上の問題」と廃止届に記されていたという。
事業所があった建物の裏手には、メダカの飼育に使われていた物か、ラックが外に並べられていた。
就労支援の事業所の運営公費で賄われ、市は1カ月あたり約100万円を事業所に給付していた。その公費は事業所の運営費に充てていたとみられているが、代表者とは今も電話はつながっていない。いまだ利用者の賃金が支払われず、夜逃げのような状態で逃げた様子が伺える。
被害女性(50代):
どういう気持ちで毎日生活しているのかなって。それしかないですね。未払いの分をきちんと、みんなに支払うべきものは支払ってください。
越谷市とさいたま市、川口市も事業所の代表者と連絡が取れず、状況が把握できないとしているが、対応を検討するとしている。
(「イット!」3月12日放送)