能登半島地震の影響を受けた観光業を支援するための北陸応援割の予約受け付けが3月8日に始まった。地震によってキャンセルが相次いだ長岡市の旅館からは感謝の声が聞かれた。一方で、この北陸応援割によって新潟県内に電話が集中し、通信が制御される事態になった。
“北陸応援割”予約受け付けスタート
従業員:
朝7時すぎから電話がきている。皆さまには10時からと告知しているが、9時ぴったりくらいにつながるまで、かけ続けていただいているお客様も大勢いらっしゃる

8日に始まった北陸応援割の予約受け付け。
旅館によって予約方法は異なるが、電話予約のみでの受け付けとしていた長岡市蓬平にある旅館・和泉屋では受け付け開始の午前10時よりも前から多くの電話がかかってきていた。

そして、午前10時を迎え、予約の受け付けがスタート!

従業員(予約の電話):
こちらの料金、総額7万2900円より半額補助が受けられます
従業員(予約の電話):
3万9990円だが、半額の補助が出て1万9950円で2名様です
能登半島地震で相次いだキャンセル
割引額は旅行・宿泊代金の50%で、1予約・1人当たり最大2万円となっている。

しかし、1月に発生した能登半島地震の影響で和泉屋も経営に大きな打撃を受けていた。
金内智子常務は「キャンセルは200件近い。特に、この時期はトップシーズンではないので、1件1件のお客様がありがたいという状況だったので、ちょっと厳しいなと」と振り返った。

県旅館ホテル組合によると、能登半島地震後から2月末までで県内には1万4000件以上のキャンセルがあり、4億9000万円以上の損失が見込まれると試算している。

和泉屋の従業員は「あのとき一斉にキャンセル電話が鳴り止まなかったので、その分はぜひ取り返させていただきたい。ご旅行予定だった方も来られなくなってしまったので、そういった方にまたお出かけいただきたい」と話した。
予約の電話集中で“通信制御”に…
その一方で…
従業員(電話):
お電話ありがとうございます。和泉屋でございます…ガチャ
(Q.どんな状態?)
従業員:
電話はかかってくるが、取るとブツッと切れる状態

一部の電話が取れない状態に。このトラブルは和泉屋だけではなかった。
NTT東日本によると、8日午前9時ごろから新潟県に電話が集中し、電話がつながりにくくなる事態に。

このため、NTT東日本は警察や病院など重要回線への影響が出ないよう、携帯電話から固定電話への通信制御を行い、一部の固定電話への電話がつながりにくくなったという。
北陸応援割の予約が始まったことが、電話が集中した要因とみられている。
北陸応援割に感謝「ようやく動き出せる」
従業員が「GoToの時以来」と話す通り、予約が相次ぎ、和泉屋ではわずか2時間ほどで予算額に達した。
従業員:
こうやって、お問い合わせをいただいたり大変ありがたい。もっと新潟県に観光で来ていただきたい

和泉屋 金内智子 常務:
結果的に予算が決まっているので、全てのお客様に対応はできないが、ようやく動き出せるかなというチャンスをいただいたと思っている。国の皆さま、県の皆さまに新潟県のこの窮状をきちんと捉えていただいて、政策を打っていただけるということに関しては、本当に心から感謝している
“中越地震”乗り越え…被災地にエール
20年前の中越地震で経営を続けるか、辞めるかの岐路に立たされた経験のある金内智子常務は当時、全国から助けてもらったことを振り返り、被災地にエールを送る。

「その時のつらさ・苦しさというのは、本当に言葉に言い表せないくらい。本当に苦しい日々が続いたが、そこで誰かに助けを求めることの必要性を私は学んだ。つらい・困った・大変という時に誰かに助けを求めてほしい。これは営業されている、商売されている方だけではなくて、被災された全ての方々、すべての方々にお伝えしたい」
北陸応援割の予約はなくなり次第終了で、3月16日から利用できる。
(NST新潟総合テレビ)