福井市にある戦国時代の城下町跡が残る国内最大の中世都市遺跡「一乗谷朝倉氏遺跡」で、いま半世紀ぶりに再整備工事が進められている。全国的にも例がない、遺跡内にガラス床を設置するもので、北陸新幹線開業による観光客の増加を見込んで、貴重な遺跡に傷を付けることなく当時の様子を体感してもらう仕掛けになっている。

ガラス床で当時の間取りを再現

福井市街から東南約10kmのところに位置する一乗谷朝倉氏遺跡は、戦国大名・朝倉氏が5代、103年にわたって治めた越前国(えちぜんのくに)の拠点。織田信長による焼き討ちで滅ぼされて以来、昭和40年代の発掘調査まで約400年わたって地中に眠っていた。

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国内で唯一、城下町跡が良い状態のまま残っていたことから“日本のポンペイ”とも呼ばれている。

一乗谷朝倉氏遺跡は一帯が特別史跡、その中にある庭園が特別名勝、出土品は重要文化財と、国のトリプル指定を受けている。今回の再整備では庭園の鑑賞スポットが設置され、その一部の一般公開が3月6日から始まった。

鑑賞スポットは朝倉氏5代当主・義景の館跡に設置された。客をもてなす部屋「泉殿(いずみどの)」、和歌を詠む部屋としても使われていた「小座敷(こざしき)」、それぞれの礎石の上にガラス製の床が設置され、真上から遺構を眺めることができる。これまでは観光客の立ち入りで遺跡が傷む恐れがあったが、ガラス床が遺跡保護の役目も果たす。

一乗谷朝倉氏遺跡博物館・藤田若菜さん:
ガラスなので絶対に割れないとは言えないけれど、仮に上が割れても下のガラスが支えてくれる。お相撲さんが乗っても大丈夫なつくりです。

戦国時代と同じ位置から庭園を鑑賞

庭園には当時の水路がそのまま残されている。「泉殿」からは斜面を流れる水路を、「小座敷」からは滝を見ることができ、どちらの部屋からも庭園を正面に見ることができるのが特長だ。

千葉県からの観光客は「当時の人の気持ちになって歩いてみたり、景色を眺めてみたり。画期的で良いと思います」と話すなど感心な様子だ。

一乗谷朝倉氏遺跡博物館・藤田若菜さん:
全国的に見ても、戦国時代の当主館や庭園がセットで非常に良い状態で残っているのは例がない。ぜひ一乗谷に足を運んで、戦国時代の人たちの気持ちになって庭園を眺めてもらえたらと思います。

2022年から始まった一乗谷朝倉氏遺跡の再整備工事。事業費2億3000万円のうちガラス床の整備に2億円をかけた。残りの3000万円で、2025年までにガラス床を拡張したり、通路の舗装を進めたりする。

(福井テレビ)

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