壁一面に描く笑顔の似顔絵で、地域を元気づけている富山・南砺市の漫画家を取材した。富山に、もっと笑顔を、ワクワクを届けたいと情熱を注いでいる。
壁一面に似顔絵 活動のきっかけは
ショッピングセンターや公共機関などが入る井波コミュニティプラザ「アスモ」にある壁には、見ているこっちも思わず微笑む、笑顔いっぱいの似顔絵が描かれている。
壁に絵を描くのは、漫画家の森みちこさん。2023年11月から制作を行っている。

京都出身の森さんは、結婚を機に井波に移り住み、その後もプロの漫画家として、漫画や絵本、イラストを描き続けている。森さんがこの活動を始めたきっかけは、コロナ禍で感じた“願い”からだ。
実は、壁一面に笑顔いっぱいの似顔絵を描くのは、この壁が3枚目。1面目の制作中に新型コロナがまん延してしまい、人が集まれない状況になった。

漫画家・森みちこさん:
早くこれだけの人が集まって楽しく笑顔で暮らせるようになればいいなと願いを込めて、アマビエさん(疫病を鎮めるとされる妖怪)を描きました。横には、南砺市の田中市長も。南砺を盛り上げたいと思った
その田中市長の助言やアスモの協力も得て、ギャラリースペースにある高さ3メートル、全長7.5メートルの壁に描くことになった。

クラウドファンディングで、株主ならぬ“壁主”を募って資金を集め、現在までに50人を超える人たちの似顔絵を描いている。
「記念碑という思いで描いてもらった」
まずは、撮影した写真をもとに、その人の特徴をとらえながら鉛筆で下書き。このあとペンで仕上げていく。

「イラストから、自分や家族に似ている顔を見つけてもらう楽しみ方も」と提案する森さん、似顔絵を描くときには、漫画家としてのこだわりもあるそうだ。

井波の歯医者さんの似顔絵は、「歯」「歯」「歯」…と歯が印象的な似顔絵に囲まれていた。
買い物の途中に絵を見に来る人も多いという。森さんが最初に似顔絵を描いた壁主・直海俊宏さんも訪れた。

“記念碑”という思いで描いてもらったという直海さん。森さんの活動について「将来の地域のためになる活動。共感を持っている」と話した。

直海俊宏さん:
実物よりも、少しいい感じで。落ち込んだ時に見ると元気が出るんですよ。自分の顔に手を合わせてます
壁が“歴史”に
笑顔いっぱいの壁絵に込めた森さんの思いを聞いた。

漫画家・森みちこさん:
壁の場所によってインクの乗り方が違ったり、この壁に歴史を感じる。アスモは31年だそうで、みなさんのことを見守ってきたんだなと感じながら描いている。今度はみなさんがここからアスモを見守る。そんな思いを込めながら描いています
4月終わりごろの完成を目指して、きょうも森さんは皆の幸せを思いながら笑顔を描き続ける。

現在、南砺市応援隊として、壁にイラストで登場したい人を募っていて、取材した谷優子アナウンサーは撮影の後に応援隊として登録し、森さんに写真を撮ってもらった。

「イラストチックな絵がいいな」とお願いしたところ、似顔絵の横にキャラクターも描いてくれた。
料金は3000円で、アスモにあるカフェ利用券も含んでいるので、描いてほしいという方は、お買い物も兼ねてアスモに出かけてみてはいかがだろうか。
(富山テレビ)