「自分の思ってることとか言えなくて、辛かった」教室を抜け出して廊下で寝そべって横に。その原因は、筋肉の張りが弱く疲れやすい「低緊張」という特性だった。学校に行きたくてもいけない…繊細な感覚を生かし、自分の好きな「歌」に思いを込めて伝えるキッズシンガーYumeさんに密着した。
学校に行きたくてもいけない

富山市に住む、小学5年生のキッズシンガーYumeさん。
幼いころから歌が好きで、今では富山県内各地で開かれるイベントに積極的に参加している。
イベントの司会者:
「『大丈夫』、この曲ってどういう曲?」
Yumeさん:
「でこぼこでも大丈夫だよ、そのままでもいいんだよという曲です」
イベントの司会者:
「Yumeちゃん自身がいま学校行ってない感じなんだって?」
Yumeさん:
「不登校!」

4年生のころから不登校になり、自宅で過ごすようになったYumeさん。
音や匂いなどに敏感に反応してしまう、「感覚過敏」の傾向があり、生まれつき筋肉の張りが弱く疲れやすい、「低緊張」という身体の特性もある。
周りにあわせて行動することが難しく、学校に行けなくなった。

Yumeさんの母 美穂さん:
「あまり座って何かをするということがなくて。なんでかなって思ってたんですけど、結局それが『低緊張』による体の疲れ、疲れやすいことが原因だってことが入学後にわかってきて。椅子に座ってること自体、座って1日授業を受けるってこと自体が物凄く体に負担がかかっているということ。教室を抜け出して廊下で寝そべって横になって、じーっと。学校の先生にしたら、やっぱりちょっと『困ったな』って…」

Yumeさん:
「みんなと同じペースでいかなきゃいけないのが嫌だった。自分の思ってることとか言えなくて、辛かったりした」
‟好き”から‟学び”を
そんなYumeさんが、繊細な感覚を生かして自分を表現できるのが「歌」

2023年、初めてのオリジナルCD「大丈夫」を制作した。
学校に行っていない自分自身、そして同世代に向けた曲。
Yumeさん:
「自分の気持ちを伝えるのが苦手なんだけど、でも歌だったら自分の気持ちを歌詞で伝えられるから」

歌うことは、Yumeさんにとって、自分を成長させてくれる大切な「学び」となっている。
Yumeさんの母 美穂さん:
「別にこれから先ずっと歌を続けるかどうかっていうのは本人が決めることなので。ただ今やっていることっていうのは、これから先どの道に進んでもきっとプラスにはなっていくと思うので。歌をやる中でいろんな人たちと関わったり出会ったりして、何か自分の夢だったり、使命だったり。そういうものを見つけてくれたらいいなっていうふうには思っています」
富山テレビではこどもの居場所や環境を考える年間キャンペーン「こどものミカタ」を展開。いじめや虐待、不登校、現状と課題についてみつめている。
2024年1月2日には、不登校の子どもたちが増加する中、これから求められる「学び」のカタチについて歌手でタレントの中川翔子さんや有識者たちとともに考える「こどものミカタ~学びの明日をみつめて~」を放送した。
(富山テレビ)