26日、滋賀県東近江市の議会に提出された来年度の予算案に初めて盛り込まれたのは、不登校の子どもたちの居場所=「フリースクール」に通う家庭への助成だ。
東近江市・小椋正清市長:
不登校児童・生徒の対策として多様な子どもの居場所づくりに取り組みます。
■「不登校の大半は親の責任」など発言の東近江市長
この記事の画像(8枚)小椋正清市長といえば2023年、滋賀県の首長会議でフリースクールについて、”ある発言”をしたことが大きな波紋を呼んでいた。
東近江市・小椋正清市長:
フリースクールといって、良かれと思ってやることが、国家の根幹を崩してしまうことになりかねないくらいの危機感を持っている。不登校の大半の責任は親にある。
これに対し、県内のフリースクールなどで作る協議会が発言の撤回を要求し、その後、市長が謝罪する事態となっていた。
■新たな支援案 最大月4万円の補助「経済的不安解消したい」
そして26日、一転して新たに盛り込まれた支援案。
「フリースクール」は民間やNPOなどが運営していて、原則、学費は自己負担。文科省の調査によると、学費は平均で月に3万3000円。
東近江市によると、今回の支援案では県の助成金も活用し、保護者の所得に応じて最大で月4万円を補助する。
市長はフリースクールへの支援について「不登校対策とフリースクール支援への意気込みを…」と問われると、「あなた方に言うことはない」と取材には応じなかった。
しかし、これまでに「義務教育の履行が大前提」とした上で「やむを得ない現状もあることも理解したので、保護者の経済的不安を解消したい」と述べていた。
■支援拡充に喜びの声 一方で「フリースクール」運営費の助成も…
市の方針転換について子どもをフリースクールに通わせる東近江市民は…
フリースクールに通わせる親:
それはうれしいですね。待ちに待っていました。自分の子どもと同じ学年の子が(フリースクール)にぱたりと来なくなってその理由が、経済的な理由だったりして、行きたいのに来れない、我慢している子が身近にいる。
フリースクールの運営側も支援の拡充を評価する一方で、今後は、運営費の助成なども必要だと話す。
フリースクールSince麻生知宏代表:
子どもたちに質の高い学びを提供しようとなると、スタッフの確保や教材研究が必要な中で、資金的にフリースクールは苦しんでいるところが多い。月謝を来年は値上げしなくてはならない。
すべての子どもたちが安心できる居場所を見つけるために、さらなる公的支援の拡充が求められている。
■非常に厳しいフリースクール運営「1人あたり20万円払いたい」
「フリースクールは国家の根幹を崩しかねない」と発言していた滋賀県の東近江市長。26日に一転して市議会に、フリースクールに通う家庭を支援する予算案を提出した。
実は、フリースクールの運営は非常に厳しい状態で、取材した近江八幡市にあるSinceの場合、収入は月謝が40万円と助成金が10万円で合計50万円。現時点で、行政からの支援はない。
支出は、家賃などがおよそ20万円で、スタッフ4人の人件費がおよそ30万円ということで、合計50万円ほどかかる。 麻生代表は「本当は1人あたり20万円支払いたいが、スタッフが身を削っている状態」だと話している。
人件費が4人で30万円ということは、1人あたり7万5千円くらいということになる。 麻生代表の目指す「1人あたり20万円支払いたい」と大きな隔たりがある。
近江八幡市では、滋賀県で初めて2024年度から、運営費の補助も行う方針だ。フリースクールのあり方について、社会全体で考えていく必要がある。
(関西テレビ「newsランナー」)