ペットと暮らしている人は、日々「危険なものが床に落ちていないか」「ペットが口にできる位置に人間の食べ物を置いていないか」など、色々と考えていることだろう。

そんな中「猫にとってユリの花は有害」ということをご存じだろうか?

実は、猫がユリの花びらや花粉、葉などを食べてしまうと、嘔吐や下痢、その他の中毒症状を引き起こしてしまうという。

これらの中毒症状を引き起こす原因物質については現在はっきりとわかっていないとのことだが、他にも、アジサイやチューリップなど、家の中の彩りとして飾られるような身近な花の中には、実は「猫にとって有毒」なものが多く存在するのだ。

そんな中、株式会社ネコハナが「猫にとって安全性の高い花だけを販売する」新サービスを、“猫の日”の2月22日に開始した。

「ネコハナギフト M」タイプの花束
「ネコハナギフト M」タイプの花束
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「ネコハナ」で取り扱う花は、アメリカ動物虐待防止協会(ASPCA)が指定している“猫にとって安全性の高い植物”の中から品種を厳選し、契約農家が完全無農薬で栽培したというもの。

ネコハナの公式サイトで購入できるのは、花束と、メールやLINEから花束を贈ることができるデジタルギフトカード。花束は「一度だけの購入」と「毎月1回・もしくは2週間に1回のペースで届く定期便」から選ぶことができる。

「ネコハナギフト L」サイズの花束
「ネコハナギフト L」サイズの花束

価格は花束のサイズによって変わるが、一回購入の場合、15本程度のMサイズ(税込4800円)からの取り扱いがあり、定期便は10本程度のSサイズ(同3300円)から取り扱っている。

猫と暮らす友人の言葉で実現

「ネコハナ」独自の調査によると、猫にとって多くの植物が危険であるということを知っている飼い主は75.5%(調査人数:159人)。「猫との暮らしのために、日常的に花を飾らないという選択を積極的にとっている」ことが分かったという。

家に彩りは欲しいけれど、大事な“家族”を危険にさらしたくない。そんな気持ちで花を遠ざけている人には嬉しいサービスだろう。そもそも「ネコハナ」を始めたのには、そんな飼い主たちからの要望の声があったのだろうか。株式会社ネコハナの代表で、獣医師の庄野舞さんにお話を聞いた。

――「ネコハナ」のサービスを始めた経緯は?

獣医師として勤務をしている中で、猫と暮らしていらっしゃる方にはいつも「お花や植物は自宅に持ち込まないでください」という指導しかできていませんでした。そんな中、猫と暮らす友人に「品種を選べばお花を飾ることができるのでは?」と相談されたことがきっかけで、私自身も猫と植物について調べるようになり、今回のフラワーショップの案が生まれました。その友人が共同創業者になっています。


――猫にとって有毒な花、例えばどんなものがある?

一番有名なのはやはりユリで、花粉、花びら、葉っぱなど植物全体が猫にとって毒になります。猫が少量でも口にした場合、腎臓の障害につながり、嘔吐や下痢、場合によっては意識がなくなったり、尿が出なくなったりといった症状も見られます。こういった状態を中毒と呼び、動物の救急病院では植物の中毒症状で多くの犬猫が来院しています。

その他、アジサイやチューリップ、カーネーション、ポインセチアなども猫にとっては毒性があることが知られています。

(イメージ)
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――有毒な花は、猫がうっかり食べないようにすれば大丈夫というわけではない?

キク科の一部の品種などは、皮膚接触をすることで皮膚炎が引き起こされる可能性があるとされています。そのため、直接食べなくても猫の健康被害が起きることはありえます。

また、現在流通している切り花は、基本的に農薬や化学肥料がどの種類どのくらいの量使用されているか分かりません。そういった花の表面を舐めてしまったり、花瓶の水を飲んでしまったりすることでの猫への影響は現状分かっておらず、不安が残ると考えています。


――では「ネコハナ」が扱っている“猫に安全な花”は、どんなものがある?

猫にとっての安全性は、アメリカ動物虐待防止協会が定めるNon-toxic Plant List -Catに掲載されている品種であること、かつ無農薬で育てられた花であること、この2点をもって定義しました。具体的な品種としては、たとえばキンギョソウ、コーンフラワー、バジルなどが掲載されています。

(イメージ)
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――サービスについて、どんな声が寄せられている?

現在は予約注文という形で、4月以降のお届けについてご注文を承っておりますが、サービス開始後、毎日お問い合わせをいただいている状況です。また、各種SNSでも反響が大きく、猫と暮らしている以上お花は飾れないと思っていた、というお声を多くいただいております。


――ちなみに、猫以外にとっても「身近にあって危険な植物」というのは多い?

はい。たとえばユリやアサガオは、猫の他、犬やうさぎ、鳥などにも毒性があります。ただ、猫は彼ら他の動物よりもそういった毒となる品種が多く、これは肝臓の代謝機能が他の動物と異なることが原因なのではと言われています。猫は肉食動物ですし、祖先は砂漠出身なので、植物全体に弱いのかもしれません。


――「ネコハナ」をどんな風に使ってほしい?

猫と暮らすご自身のためへのプレゼントや、奥様や旦那様へのプレゼントにぜひご利用いただきたいです。また、ギフト配送もできますので、たとえばご実家のお母様への母の日のプレゼントに、たとえば送別会などで猫オーナーの方へお花をお送りする際に、すべての猫オーナー様のお花と触れる機会には、ネコハナを利用していただけたら嬉しいなと思っております。

2月22日の“猫の日”に合わせてスタートした「ネコハナ」のサービスだが、X(旧Twitter)では「めっちゃいい。利用してみたい」「自分で調べて買うの大変なんだよね」「今、猫のいる部屋にはお花置かないようにしてるから期待大」といった声が寄せられている。

なお現在は東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県の1都3県のみの展開だが、「今後、サービスが順調に拡大すれば、エリアの拡大もぜひ検討したい」とのことだ。愛猫との生活と、花のある空間の両立を諦めてきた人はチェックしてみてはいかがだろうか。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。