2024年元日の能登半島地震では、石川県輪島市の名産品「輪島塗」も甚大な被害を受けた。愛知県稲沢市出身の若き職人が、輪島の未来のために立ち上がっている。
火災で焼け落ちた工房にわずかに残っていた蒔絵の漆器なども…
鮮やかな朱色に漆黒の艶が美しい、石川県輪島市の名産品・輪島塗。

いま、名古屋市西区の懐韻(なつね)ギャラリーで展示販売会が開かれている。主催したのは愛知県稲沢市出身の今瀬風韻さん(28)。今瀬さんは輪島市で輪島塗の職人として働いていた。

今瀬風韻さん:
驚きましたね、まさかという感じ。工房が潰れてしまっている所ですとか、火災に遭われた所もあるので
能登半島地震で大きな被害を受けた輪島市では、輪島塗を手掛ける老舗企業のビルが倒壊するなど、多くの工房が被災した。

地震が起きた元日、今瀬さんは稲沢市の実家に帰省したという。1月末に輪島の街に戻ると、かつての面影はなく、働いていた輪島塗の会社は機械が倒れるなど使えない状態になっていた。

今瀬風韻さん:
地震の影響で潰れてしまったりとか、道具がなくなってしまったりとか、朝市に店舗があった方は燃えてしまったりとか、そういう方を少しでも支援できればなと思っています
輪島の職人たちを支えたいと、今瀬さんは母親が営む和食店の2階のギャラリースペースでチャリティー販売会を始めた。
今瀬風韻さん:
地震で落ちてしまって小さな傷がついてしまったものを、少しお値下げしてお買い求めやすい価格で展示させてもらっています
被災して、まだ輪島塗の商品を作れない職人がほとんどだが、地震でわずかに傷がつき、百貨店などでは販売できないものなどを集めている。

今瀬風韻さん:
この方は店舗が輪島の朝市の方にありまして、商品の在庫ですとか道具も焼けてしまって、あまり在庫がない中でこれだけの商品を今回展示させてもらっている
伝統的な蒔絵という技法で四季の花を描いた漆器も、火災で店舗が焼け落ちた工房にわずかに残っていた商品だ。

今瀬風韻さん:
一人でやられているご高齢の方とかは、もうこれで辞めるという方もいらっしゃるんですけど、私たち若手がどんどん下から学びたいという意欲を持って勉強したりですとか売るという場を広げていくことで、少しでも仕事を続けたいと思ってくれる職人さんが残ってくれればいいなと思います

チャリティー販売会は3月31日までで、売上は全て輪島の職人に届けるという。
(東海テレビ)