山間部でメガソーラーの建設計画が相次ぐ福島県福島市。先達山では、東京ドーム13個分の森林が伐採され、山肌が露出している。災害発生のリスクや景観の悪化を心配する住民の声が高まるなか、福島市が対策に乗り出している。
ノーモア メガソーラー宣言
2月9日、福島県庁を訪れた福島市の木幡市長。山間部の開発許可を出す県に、メガソーラーの建設については、地元の意見をくみ取り慎重に対応するよう求めた。
要請の背景には、福島市が2023年8月に表明した「ノーモア メガソーラー宣言」がある。
「災害の発生が危惧され、誇りである景観が損なわれるような山地への大規模太陽光発電施設の設置を、これ以上望まないことをここに宣言します」

森林伐採で山肌がむき出しに
反対の姿勢を明確にして、事業者に入口の段階で諦めてもらう作戦だが、そのきっかけとなったのが…福島市西部にある先達山。2021年から県外の事業者がメガソーラーの建設を進めている。東京ドーム13個分の広さで森林が伐採され、山肌がむき出しに…住民が想像していた景観とは大きく異なるものだった。

地元の不安 景観と災害
「特に景観というのは、一度壊されてしまうと元に戻らない。子どもたち世代に、いろんな意味での負荷を残す」と話すのは、高湯温泉太陽光発電所建設中止を求める会の林 澤一さん。これまでに約4000人の署名を提出し、建設中止を求めてきた。
「自分たちが寝ている頭の上で伐採が行われている。地元の人が一番心配するのは、豪雨が降った場合の洪水被害」と話す。

野生動物との境界線に変化
建設場所は土壌が弱い急傾斜地。景観の悪化とともに心配するのは、土砂災害のリスクだ。別のメガソーラー施設では、大雨などの時に斜面の崩落や道路への土砂の流出などが確認されている。
さらに…「山を壊されたものだから、クマなどが出歩く。抗議の文章の中では、鳥獣害が増加するだろうと出してある」と林さんはいう。

地域共生型の再エネ推進を
福島市では福島県への要請に先立ち、景観の改善にむけた緑化工事の先行実施や土砂災害の防止などを事業者に求めている。
木幡市長は「メガソーラーはNOですけども、屋根置きとか小さな太陽光発電は推進していかないといけないと思っています。あくまでも地域共生型の再エネを推進すべきだと思う」と話した。

先達山のメガソーラーは、2025年5月の稼働開始を予定している。
(福島テレビ)