元日に起こった能登半島地震で、復旧が遅れている理由の一つが“道路”の問題。復旧作業の現場を取材すると、思うように進まない理由があった。
能登の“大動脈”復旧のめど立たず
能登半島に続く大動脈“のと里山海道”。2007年の能登半島地震でも大きな被害を受けたが、今回も甚大な被害が出ている。
この記事の画像(28枚)のと里山海道、越ノ原ICから穴水ICへと向かう区間では、能登大橋へと続く道が大きくえぐられ、完全に寸断されてしまっていた。
地震直後の様子を見ると、路面はズタズタに割れ、走っていた車はその亀裂に挟まっていた。
そして現在は、路面の下にあった土がむき出しになっている。
輪島国道出張所・奥村忠史所長:
見ていただくと、橋の橋台はしっかりくいなどで支えられているので地盤沈下などはないが、その背面が土砂となっているので、崩落している
橋と路面の段差は約1.5メートル。地中へのひび割れは、3メートル以上に及んでいた。
1月11日に現地調査が始まり13日から着工したが、いつまでに復旧できるか、めどは立っていない。
輪島国道出張所・奥村忠史所長:
熊本地震とか東北の大震災と違って、能登半島はこういった先端の部分に当たるので、大動脈となる道路が寸断されると陸路からのアクセスがしにくい
縦に長い石川県。能登半島は多くが海に面しているため、能登へ向かう道路は限られている。
しかし、その肝心な道路が寸断されたため、工事車両が現場にたどり着けず、復旧作業が進まないのだ。
輪島国道出張所・奥村忠史所長:
1月30日までに(ひび割れの深さを調べる)掘削作業は終わった。今週中にどのような工法があるか確認して作業していきたい
集落を結ぶトンネル崩落も…「手がつけられない」
さらに、今回の地震で甚大な被害を受けたのは、道路だけではない。
案内されたのは、石川・珠洲市真浦町。
道の先にはトンネルがあるはずだが…見えるのは大量の土砂だけ。
記者:
トンネルってどれのことだ?
カメラマン:
埋まってるってこと?
記者:
でも標識立ってる、電光掲示板がある
北陸地方整備局 地域道路調整官・稲本義昌さん:
道路があってトンネルの情報板がある。その先がトンネルだが、土砂に覆いかぶさられてまったく見えない。
北陸地方整備局 地域道路調整官・稲本義昌さん:
大体80メートルくらいのところから土砂が落ちてきている。トンネルも、すぐそこにあるんじゃなくて、もう少し向こう側にいったところにある。トンネルの手前にも相当土砂がたまっている
平地が少ない能登半島。集落と集落を結ぶトンネルがいたるところで崩壊し、土砂を取り除こうとしても、山の上にまで重機を入れることは難しく、手がつけられないという。
さらに、二次被害のおそれがあるため、重機を入れるとかえって危険な場合があるという。
北陸地方整備局 地域道路調整官・稲本義昌さん:
今の、もともとのトンネルをそのまま使うのは非常に厳しい
国交省は、このトンネルを復旧させることはできないと判断している。
では、一体どうするのか。
2007年の能登半島地震でもともとあったトンネルが崩れ、その横に新たに開通したトンネル、「八世乃洞門新トンネル」。
今回の復旧方法はまだ決まっていないが、同じやり方になる可能性はあるという。
ただし、八世乃洞門新トンネルも、開通するまでに2年かかっている。
北陸地方整備局 地域道路調整官・稲本義昌さん:
やはりぐるっと迂回して回るよりか、直通の方が早いですし、もともとあった道ですから一日も早く復旧したいが、なかなかきょう、あすということにはならない
一筋縄ではいかない復旧工事。
能登の大動脈に与えた甚大な被害を、改めて思い知らされた。
(石川テレビ)