島根・浜田市弥栄町に、週1回、日曜日だけ営業するカレーショップがある。店主はふるさと・浜田にUターンした30代の男性。実は本業は「コケ」の店だという。
ユニークな“二刀流”ショップを通じて地域の魅力をアピールし、ふるさとを盛り上げたいと奮闘する男性にスポットを当てた。

本格カレー 味わえるのは週1回だけ?

浜田市弥栄町の、のどかな山あいの町に2023年4月にオープンしたのが「山のカレー屋 トラトラ」。独自にスパイスを配合して作る本格カレーが味わえる。

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山のカレー屋 トラトラ店主・籾山信二さん:
弥栄町は自然がいっぱいあっていい場所なので、ゆっくりしてもらえる場所も作りたい。

独自にスパイスを配合した本格カレー
独自にスパイスを配合した本格カレー

店主の籾山信二さんは、生まれ育った町ににぎわいの場を作ろうとこの店を開いた。しかし、こだわりの本格カレー、実はなかなか味わうことができない。

“本業”のコケの仕事の様子
“本業”のコケの仕事の様子

オープンするのは毎週日曜日だけで、週1回しか営業しない。その理由について、籾山さんは「平日は『コケ』の作業をしているので」と説明する。

1週間のうち、カレーショップの営業は1日だけ。残る6日は「コケ」に精力を注いでいた。

山のカレー屋トラトラ店主・籾山信二さん:
「コケ」です。今から植えていきます。

“本業”の「コケ」の仕事の様子を見せてもらった。
籾山さんが取り出したのは、自ら、地元・弥栄町内の山で採取した「コケ」だ。

そして、透明なガラスケースの中に、ピンセットを使って「コケ」を並べ始めた。インテリアとしても人気の「テラリウム」、弥栄のコケが主役の「コケテラリウム」だ。

「弥栄の風景」を切り取った作品の数々

採取したいくつかの種類を組み合わせ、小さな「庭」を作っていく。「山に行ったら、コケがいっぱいあった。これを売ったらいいじゃん」と考えた籾山さん、5年前に「コケ」の販売をスタートした。

「弥栄の自然の中でできたものなので、弥栄の良さを伝えるには最適かな」と、さらに、「コケ」を使った「テラリウム」を作り始めた。

籾山さんがつくる「コケテラリウム」、その最大の魅力は「弥栄の風景」を切り取っていること。写真の風景がガラスケースの中に再現され、「自然の景色を眺めているようで癒やされる」と、多い時には月に約500件の注文が入る人気なのだそうだ。

籾山さんは「弥栄には四季折々の顔があって、こういう場所があるんだよってことだけでも伝えられれば」と話す。

ふるさとへの思いを「コケ」に込めて

せっかくなので、籾山さんに「コケ」の採集場所へ案内してもらった。

山のカレー屋トラトラ店主・籾山信二さん: 
木がうっそう茂るところも「テラリウム」にしたらおもしろいかな。

自然豊かな弥栄だからこそ、次の作品に向け、インスピレーションが次々に湧いてくる。

山のカレー屋トラトラ店主・籾山信二さん:
人が少なくなって住めなくなったら、僕が育った場所に帰れないのは寂しい。弥栄にいろんな人に来てもらいたい。「コケ」がその一助になったらなと思います。

なにより「コケ」に込めるのは、ふるさとへの思い。弥栄のことを知り、訪れてもらうきっかけにと、籾山さんは「カレー」と「コケ」の“二刀流”で、ふるさとの魅力を発信し続ける。

(TSKさんいん中央テレビ)

TSKさんいん中央テレビ
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