鍋をする時はもちろん、災害時にも活躍するカセットコンロ。使った後のカセットボンベは正しい方法で処分しているだろうか?ガス抜きが不十分だと、思わぬ火災につながることもある。
ごみ収集車で火災が発生
2024年1月、福島県福島市で「燃えないごみ」を回収していた作業員が、ごみ収集車の荷台から煙が出ていることに気付き、近くの消防署に駆け込んだ。ごみの中から見つかったのはカセットボンベやスプレー缶、あわせて11本。これが火事の原因となった。

カセットボンベやスプレー缶の中には、可燃性のガスが含まれる。ガス抜きが不十分のまま廃棄されると、収集車の中でゴミを圧縮する際に出る火花によって引火する可能性がある。

起因する火事の半分が収集車で
福島県内12の消防本部に聞くと、2023年1年間でカセットボンベやスプレー缶が原因となった火事は合わせて11件発生。そのうち5件は、ごみ収集の作業中に起きている。

自治体ごとに廃棄は異なる
正しい廃棄方法は自治体によって異なり、福島市では「2カ所以上に穴を開け、燃えないごみの日に出す」としているが、郡山市では「穴を開けて、カセットボンベ・スプレー缶だけを一つの袋にまとめ、資源物の日に出す」ことになっている。

自宅でガス抜き 爆発のケースも
ただ、缶に穴を開けてガスを抜く際は、注意が必要だ。2017年8月に、福島県いわき市の女性が自宅で殺虫剤の缶に穴を開けようとした際に爆発が発生。台所でアイスピックを使ってスプレー缶に穴を開けたところ、穴から吹き出すように火が出たといいう。右腕に軽いヤケドをしたほか、近くにあったタオル掛けなどにも燃え移った。カセットボンベやスプレー缶による火災は、瞬間的で激しい爆発や燃焼が特徴で特段の注意が必要だ。

ガス抜きのポイントは3つ
ガス抜きが不十分な状態のスプレー缶が一日に100本以上運び込まれるという、福島市の「あらかわクリーンセンター」では作業員がガス抜き作業を行っている。安全に正しく処分するためは、どんなことに気を付ければ良いのか伺った。
ガスが残ったまま穴をあけると、すごい勢いでガスが噴射される。まずは、ガスを抜いた状態で作業することが大前提。その上で、ポイントは3つあるという。

風通しのよいところで
3つのポイント、1つ目は「場所」
福島市役所ごみ減量推進課の根本裕史さんは「必ず風通しのいいところで行っていただきたい」と話し「家庭で行う場合は、必ず屋外。庭やベランダで」とアドバイスする。作業は、周囲に火の気のない風通しの良い屋外で。

安定させ側面にあける
ポイントの2つ目は「穴を開ける場所」
缶を体から離して地面に安定させたうえで、比較的やわらかい側面に穴をあける。

穴は2カ所以上で
最後のポイントは「穴の数」
福島市役所ごみ減量推進課の根本さんは「先日のごみ収集車の事故で、穴を開けた状態のスプレー缶が発見されたが、まだ中身が残存していた」と話す。福島市が推奨する穴の数は、2カ所以上。1カ所よりも残ったガスを抜きやすくなるうえ、作業員が収集する際のチェックもしやすくなるという。

「まぁ、いいか」は市民の不利益に
自分が使ったものは、捨てる時まで責任を持つこと。そして、それぞれの自治体のルールで安全に処分することが求められる。福島市役所ごみ減量推進課の根本さんは「ごみステーションに出せば あとは市がなんとかしてくれると思う人もいるだろうが、一人のまぁいいかが市民全体の不利益になってしまうということを、ぜひもう一度考えいただいて、ごみを捨てる時には気をつけいただきたい」と話した。

福島市によると、ごみ収集車での火災が起きた時の修理費用は200万円以上、買い換えとなると1台900万円から1000万円もかかるという。これらは、税金から賄うことになる。
(福島テレビ)