国立の奈良教育大学附属小学校で、1年生から音楽の授業で「君が代」を教えない、書道の授業が行われないなど、9つの教科などで未履修が常態化していた。学校は、会見で謝罪し、補習をするなどして対応するとしている。

■学習指導要領に従っていない項目は31 国語・社会など9つの教科で未履修など

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奈良教育大学 宮下俊也学長:
学習指導要領で掲げられていることを、やっていないことは法令違反です。国立大学附属学校として、国民からの信頼を裏切ることになり、心よりおわび申し上げます。

奈良教育大学附属小学校によると、国語・社会・理科などの9つの教科などで未履修や授業時間の不足・指導の年次違いが常態化していた。教員を志す教育実習生を受け入れる附属学校で発覚した異例の事態。学習指導要領に従っていない項目は31にのぼる。

奈良教育大学 宮下俊也学長:
外国語は代名詞の指導が不足。動名詞、過去形の指導が6年生で不足しておりました。音楽づくり活動の一部と、国歌『君が代』の指導が不十分でした。

また3年生から6年生まで必修とされている国語の「毛筆」が長年にわたり行われておらず、現在の6年生は120時間授業不足となっている。

奈良教育大学 宮下俊也学長:
(書道は)『筆ペン』でされていたことが続いていた。筆ペンは書写の毛筆の指導には当たらないということになったので、指導されていないということになりました。

奈良教育大学附属小学校 小谷隆男校長:
(Q担当者の釈明は?)学習指導要領の認識不足です。

さらに、一部の教科では国の教科書検定で認められた教科書を十分に使わず、「学校独自のプリント」などが用いられていたという。

■職員会議が『最高議決機関』 校長の指導にも理解示さなかったことが一因か

不適切な授業カリキュラムが常態化していた要因について小学校の校長は…

奈良教育大学附属小学校 小谷隆男校長:
4月に赴任して以降、課題については、おかしいと疑問を持っていました。改善を図ろうとして、先生方に指導・助言・提案をさせていただいたが、なかなか理解を得ることができなかった。

学校では、職員会議を『最高議決機関』と位置づけるなど、教員が校長の意向に協力的ではなく、ガバナンスが不十分だったとしている。

同じ国立の教育大学附属学校である、大阪教育大学附属小学校の小崎校長に話を聞いた。

大阪教育大学附属天王寺小学校 小崎恭弘校長:
教育大学の附属学校はいくつか使命があって、一つは地域社会の先駆的な教育をけん引していく。それから教員を養成していくという社会的な使命がある。根幹の部分が今回うまくいってなかったのは、正直驚いています。

奈良教育大学附属小学校は今後、授業内容を圧縮して補習し、未履修を補填するということだ。

■「学習指導要領」に従わないことで中学校に上がったとき子供が不利益になる恐れ

奈良教育大附属小学校の不適切な指導による子供への影響が気になる。そもそも国が定めている学習指導要領は、学校教育法などに基づき、文部科学大臣が基準として示す教育課程であり、従わなければならないものだ。

指導要領には教科ごとの目標、内容や授業時間が定められている。例えば、国語では、毛筆は年間 30 単位時間必要などと定められている。学習指導要領は公立、私立、国立大学附属の学校、いずれも全て同じく守らなければならない。

今回の問題で一番気になるのは子供への影響。これについて大阪教育大学附属天王寺小学校の小崎恭弘校長によると、「学習指導要領は成長発達に合わせて作られるもの。『義務教育の接続・連携』の上で、中学校に上がったときに不利益となる」とのことで、 中学校に上がる時に、学ぶべきものが学ばれていないことになる恐れがあるという。

関西テレビ 加藤報道デスク:
こういったことが起きる背景には、私立であれ、国立であれ、歴史がある学校ほど独特な『ムラ社会』みたいなものがあり、悪しき風習が残って、風通しの悪い組織になっている問題があると思います。
  再発防止には、第三者の目を効果的に使うことが求められます。例えば、校長先生が授業をちょっと見に行くだけでは十分には分からないでしょうから、適切な人事交流を行うとか、外部の監査を入れることが、どの学校にも求められるんじゃないかと思います。

履修漏れに関して、補修などで対応していくということだが、在校生はもちろん、卒業生に対してもていねいな対応が求められるだろう。

(関西テレビ「newsランナー」 2024年1月17日放送)

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