秋田・大仙市にSNSで話題になっているコーヒー店がある。その店の住所は“非公開”だが、SNSを通じて多くの客が訪れる。知る人ぞ知るその店は、コーヒー店の新しい形を模索中だ。

“人と人とをつなぐ”コーヒー店

大仙市大曲のとある場所にたたずむ小さな建物は、2023年9月にオープンしたスタンドコーヒー店「つなぐ珈琲」だ。店の中に入ると、香ばしい香りが広がる。

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オーナーは市内出身で、インターネットや道の駅などでコーヒー豆の販売をしていて、初めて店を構えた。店では自家焙煎(ばいせん)のコーヒーや焼き菓子を提供している。

「つなぐ珈琲」という店名には、“人と人とをつなぐ場所であってほしい”、“コーヒーで穏やかな時間を紡ぎたい”という思いが込められている。

大学生のインターン・花田絢美さん
大学生のインターン・花田絢美さん

店を切り盛りするのは、大学生のインターン・花田絢美さん。コーヒーのおいしい入れ方や豆の種類を研究していて、オーナーから絶大な信頼を寄せられている。

つなぐ珈琲・花田絢美さん:
「こういう豆があるんですよ」と話しながら選んでもらったりとか、何かしらのコミュニケーションが取れるというのが、すごくいいポイントだと思う。ちょっとほっこりした雰囲気を出すためにも会話をするように心がけている

住所は非公開でも多くの人が訪れる理由

店の住所が公開されていないほか、営業は日曜日と月曜日の午後2時から午後6時までの4時間だけだが、その味を求めて多くの人が訪れる。

店では、会員になれば月に780円でコーヒーが飲み放題になるコーヒーの「サブスクリプション」がある。客の多くはSNSを通じて店の存在を知り、会員になる。

つなぐ珈琲の常連客は「きょうは格別においしかった。喫茶店に行くきっかけがなかなかなかったので、会員制にしてもらうことでコーヒーを頻繁に飲むきっかけになった」と話す。

一方、会員になることを決めた男性客の姿もあり、花田さんが「きりっとした苦味や、まろやかな苦味のあるコーヒーもあります」と紹介すると、男性客はまろやかな方を注文した。

花田さんのお薦めから選んだのは、インドネシア産のマンデリンだった。

花田さんが男性に「家でもコーヒーを飲みますか?」と聞くと、男性は「飲む」と答えた。さらに花田さんが「私も学生なので課題が大変な時にコーヒーを入れて飲んでいます」と伝えるなど、自然と会話が弾む。

会員になることを決めた男性客:
コクがあって、結構マイルド。豆の匂いを確認させてもらって、きょう飲みたいのはこれかなと。県内でやっている企業でもあるので、少し貢献できればと思って会員になった

「つなぐ珈琲」では、南アメリカ・アフリカ・東南アジアの豆を使い、毎月5種類ほどのコーヒーを提供している。豆はオーナーが機械を使わずに手網で焙煎。その日の湿度や気温、コーヒー豆の質のほか、焙煎する時のわずかな加減で味わいが変わる。同じ味は二度と再現できないのだとか。

しかも手網焙煎では、一度に提供できるコーヒー豆はそれほど多くない。会員制にしたり、住所を非公開にしたりしている理由は、納得のいく味のコーヒーを、ゆっくり、じっくり味わってほしいという思いがあるからだ。

新たな挑戦 住所非公開の2号店も

そんな「つなぐ珈琲」は、2024年、新たな挑戦に乗り出した。
1月6日、秋田市のとある場所を訪れると、2号店のオープンに向けて準備が進められていた。

元々はタバコ店だった場所で、座席を設けない完全テイクアウトの店だ。店内は、店のスタッフとSNSを通じて集まった参加者を中心にDIYでリノベーションした。

2号店は1月15日にオープン。多くの人が立ち寄れるよう、月曜日から土曜日の午前7時から午後6時まで営業している。

つなぐ珈琲・花田絢美さん:
2号店は、結構人通りが多い所に店が建っているので、店のスタッフとお客さんと地域の中で、いろいろな交流が生まれるような場所になったらいいなと思っている。気軽に来てもらえるとうれしい

2号店での「コーヒーのサブスク」のプランは2種類。こちらも住所は公開されないが、SNSや口コミで人気が広がりそうだ。

(秋田テレビ)

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