能登半島地震によって本当に多くの方々が自宅を失ったり住めなくなったりして、現在も避難所での生活を余儀なくされています。 

避難所では被災者の方々は互いに協力し合って生活をされていますが、不特定多数が出入りするため、やはり注意も必要になってきます。 

東日本大震災以降、災害とジェンダーに関する研修・情報発信をしている「減災と男女共同参画 研修推進センター」の浅野幸子共同代表に話を聞きました。 

災害時の性暴力はみんなで防ぐ 女性だけの問題ではない 

浅野共同代表によると、災害時、また、避難所などのプライバシーを守ることが難しい環境において、性暴力が起こることがあるといいます。 

浅野共同代表 :
「大切なことは、関係者が協力して性暴力をまねきにくい環境づくりや支援情報の提供を行うことだ」と指摘します。 

・性暴力・DV防止に関するポスター等を避難所の見やすい場所に掲示する。  
・トイレ・更衣室・入浴設備を適切な場所に設置し、照明や防犯ブザーで安全を確保する。
  
・避難所の巡回警備は男女ペアで行う。 
・女性用トイレや女性用更衣室には女性が巡回する。 
・女性相談員や女性専用相談窓口を設置する。 

(内閣府が策定した「男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン」より) 

浅野幸子「減災と男女共同参画研究推進センター」共同代表
浅野幸子「減災と男女共同参画研究推進センター」共同代表
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浅野共同代表 :
性暴力は、若い女性だけでなく、中高年や子供(男の子も含む)も被害にあうことがわかっています。ですから可能でしたら、女性同士、あるいは複数で声を掛け合いながら行動していただければと思います。避難所の女性同士、みんなで相談し合える雰囲気を作っていけるといいと思います。

・トイレに行く際などはなるべく声をかけあって1人ではなく複数で行くようにしてください。 
・男女問わず子供のトイレの際は大人が付き添い、また1人にはせずできる限り見守ってあげてください。 
・一人でかかえこまず声をかけあいましょう。 
・男性の支援者、地域リーダー、ご家族も防犯対策へのご協力をお願いします。 

「我慢しないでください。言っていいんです」 

暴力の被害を訴えるのは平常時でも難しい上、「非常事態」だからということで、平常時より被害者が声を上げにくい環境になるといいます。行政スタッフ、支援者、家族などがよく話を聞くことも大切だと浅野共同代表は訴えます。 

浅野共同代表 :
性被害もそうですが、他のつらいことなども我慢してしまう女性が多くいます。 
女性たちは、ご自身の家族のケアの役割を負っている方も多い。過去の災害時も、家族のことを第一に考えてご自身のことは言わない女性が多く見られました。でも、言っていいんです。避難所にいらっしゃる女性にお伝えしたいことは、我慢なさらないでください、ということです。女性たちが声を上げると、全体が助かるのです。1人で言う勇気がなかったら、知り合いなどと一緒にぜひ声を上げてください。それが、自分だけじゃなくて他の人の助けにもなるんです。 


(取材・執筆:フジテレビアナウンサー兼報道局解説委員 島田彩夏)

【性暴力・DV被害などの相談先一覧 】
<警察庁> 
◆各都道府県警察の性犯罪被害相談電話につながる全国共通番号 
#8103(ハートさん) 
※説明のウェブサイトはこちら:
https://www.npa.go.jp/higaisya/seihanzai/seihanzai.html

<内閣府男女局と全国の関係機関> 
◆性暴力ワンストップ
#8891
(※全国の最寄りのワンストップ支援センターにつながります。いしかわ性暴力被害者支援とセンター「パープルサポートいしかわ」も含みます)
※説明のウェブサイトはこちら:https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/seibouryoku/consult.html

◆性暴力のSNS相談 キュアタイム  
https://curetime.jp/
(チャットやメールで相談できます )

◆DV相談ナビ 全国共通番号
#8008 
(※最寄りの相談機関につながります )
※説明のウェブサイトはこちら:https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/dv_navi/index.html

◆DV相談+(プラス)
https://soudanplus.jp/
(メール、チャット等でも相談可能)

<被災地の相談機関 >
(石川県)
◆石川県女性相談支援センター
https://www.pref.ishikawa.lg.jp/josou/soudansien/index.html

◆金沢市相談窓口
https://www4.city.kanazawa.lg.jp/soshikikarasagasu/divercityjinkenseisakuka/gyomuannai/4/2/1111/8180.html
(DV、女性のお悩み、性被害など)

(富山県)
◆富山県女性相談センター
https://www.pref.toyama.jp/1257/kensei/kenseiunei/kensei/soshiki/12/1257.html

(新潟県)
◆新潟県女性のための相談窓口「にいがたRibbon net」https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/seisaku/ribbonnet.html

島田彩夏
島田彩夏

人の親になり、伝えるニュースへの向き合いも親としての視点が入るようになりました。どんなに大きなニュースのなかにもひとりひとりの人間がいて、その「人」をつくるのは家族であり環境なのだと。そのような思いから、児童虐待の問題やこどもの自殺、いじめ問題などに丁寧に向き合っていきたいと思っています。
「FNNライブニュース デイズ」メインキャスター。アナウンサー兼解説委員。愛知県豊橋市出身。上智大学卒業。入社以来、報道番組、情報番組を主に担当。ナレーションも好きです。年子男児育児に奮闘中です。趣味はお酒、ラーメン、グラスを傾けながらの読書です。