温泉王国の福島県。公衆浴場では名湯に安い料金で浸かれるのも魅力で、福島市・飯坂温泉の公衆浴場では200円で入浴できるところもある。気軽に楽しめる温泉だが、飯坂温泉では設備の老朽化でピンチを迎えている。
お湯が止まったため臨時休業
福島県福島市飯坂町の天王寺穴原湯は人気の公衆浴場。しかし、入り口には「お湯が止まったため臨時休業」という張り紙が…温泉を汲み上げるポンプが故障し臨時休業となっている。原因は、老朽化だ。

飯坂温泉旅館協同組合の小水秀也会長は「改修をしなくてはならないが、その前に収支の方…どうにかしなくちゃいけないという事」と話す。
「いつ温泉が止まるか分からない」と危惧する設備の老朽化で、整備には2億5000万円ほどの財源が必要となる。

財源不足 整備の見通し立たず
福島市飯坂町にある約60の旅館などの施設と、4つの公衆浴場に温泉を供給している飯坂財産区。飯坂町財産区は、旅館などに温泉を供給する「温泉供給事業」と4つの「公衆浴場事業」を経営する団体。「温泉供給事業」は毎年、約1200万円の収益をあげているのだが、「公衆浴場事業」は毎年約850万円の赤字となっている。

飯坂町財産区にある4ヵ所の公衆浴場では、この10年間で入浴料収入は約700万円、利用者は約5万人減少していて、この状況が続けば令和11年に繰越金が無くなる見通し。赤字が経営を圧迫していて、設備整備の見通しはたっていない。

時短?値上げ?検討始まる
この事態を受け開かれた、今後を考える検討会。赤字を縮小するため、公衆浴場の統合や営業時間の短縮、200円の入浴料値上げや他県の温泉を参考に観光客と地域住民の入浴料を分けるなどの取り組みが話し合われた。今後も、飯坂財産区では話し合いを重ねて、2023年度中に運営計画などを福島市に報告することにしている。

利用料の安さから、数多く利用する人も多い飯坂温泉の公衆浴場。飯坂温泉旅館協同組合の小水秀也会長は「温泉があってこその飯坂温泉なので、それを絶対に無くさないようになくてはけない」と話す。

存続するためには安定した運営が不可欠となる。
(福島テレビ)