人口減少による利用者の減少やドライバー不足などからバス路線の減少・減便など、地域交通の存続が課題となっている。その切り札となるか?福島県では初めての自動運転バスの実証運行やAIを使ったバス利用の取り組みが始まっている。
運転席もハンドルもない
福島県田村市で始まった自動運転バスの実証運行。電気で動くこのバスは、オペレーターも乗っているが、操作するのはドアの開閉や緊急停止など必要がある時だけ。

次世代型の自動運転バス
バスの前後についている8つのセンサーで、周りの状況を感知。信号機が黄色から赤へ変わると、ゆっくりと速度を落とししっかりと停車。登録された地図情報とGPSで位置を確認しながら最高時速20キロで走行する。

乗車した人は「足が悪いから町に出てくるのも大変。車があればいいなと思って」「ちゃんと赤信号で止まってくれた。急な坂では、心の中で頑張れ頑張れって言っていました」と話す。

本格導入目指す
定員は10人で、運賃は無料。JR船引駅から町内を巡回し、平日は8便、土日祝日は6便運行する。新たな交通手段を提供し、運転手不足の課題解消にもなる自動運転バス実証運行は、12月22日まで。田村市は安全性や利用状況を分析し、2024年以降の本格導入を目指している。

自動運転は5段階に分類
「自動運転」については、レベル1から5まで5段階に分けられている。田村市のバスは人による監視が必要な「2」となる。福井県では、緊急時に運転を引き継ぐ人だけが必要という「レベル3」の実証実験を行っていたが、2023年5月には緊急時も人が必要ない「レベル4」の実験を全国で初めて行った。田村市でも将来的に「レベル4」での運行に意欲を示している。

地域交通の厳しい現状
自動運転の開発が進む背景には、路線バスの厳しい状況がある。福島県内路線バスの利用者の推移を見ると、2021年度の利用者は20年前と比較すると4割ほどに落ち込む。この前年には、距離にして205キロもの路線バスが廃線となっている。(※東北運輸局データ)
福島県は、厳しい現状を受け、2022年度に2億5000万円を超える補助金を投入し支援を行っている。

バスを乗車ポイントに呼び出す
田村市での取り組みのほかにも、会津若松市では2023年12月からアプリや電話で乗りたい時にバスを最寄りの乗降ポイントに呼び出す「My Rideどこでもバス」の実証運行が始まった。

会津乗合自動車株式会社の安部和人さんは「人工知能を使った取り組みとして、お客様のオーダーに応じて、かつ最適な経路を導き出すシステム」と説明する。

発車時刻を気にせずに
乗降ポイントは会津若松市内498カ所。バスにはAIが搭載されていて、混雑状況などを感知して目的地までの最適なルートを選ぶ。利用者は「普通のバスは、待ってないと時間通りに来ちゃう。このバスは、薬もらってから頼めるから便利だね」と話す。

会津乗合自動車株式会社の安部和人さんは「AIオンデマンドのような公共交通を進めていくことで、移動の需要をうまく確保出来れば」と話した。実証運行は2024年2月までで、運営する協議会では通年での運行を目指している。

バス会社を取り巻く環境は厳しさを増し、ドライバーや高齢者の足を確保することが課題となるなか、自動バスやAIなどの技術革新が課題解消に繋がるかもしれない。
(福島テレビ)