2020年の豪雨で被災したJR肥薩線の復旧について話し合う会議が、2023年12月13日に開かれた。熊本県は観光を軸とし、10年後の2033年度を復旧目標とする復興方針案を提出した。これに対し、JR九州は「しっかり受け止め検討したい」と述べた。

復旧費 JR九州の負担分を圧縮へ

2020年7月豪雨で甚大な被害を受けたJR肥薩線は、今も一部区間が運休し、復旧費はJR九州最大の約235億円に上るとみられている。

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熊本県と地元12市町村は、鉄道での復旧に向けて線路などのインフラを自治体が管理する「上下分離方式」の導入を検討。
国の補助を最大限活用し、当初の市町村も負担する計画だった復旧費を、熊本県が全額負担することで、JR九州の負担を約25億3,000万円まで圧縮する方針で11月24日に合意した。

県は観光軸の復興方針案を提出

国と熊本県、JR九州の3者による検討会議で、県は観光を軸とした復興方針として、SL人吉に代わる観光列車の導入や、人吉駅前などを歩いて楽しむまちづくりなどを提案した。

バスでの復旧よりも年間の旅行客は68万人増え、観光消費も76億円増えると見込み、2024年度末までに最終合意し、2033年度の復旧を目指すとしている。
また、被災前に年間6億円だった赤字は、この案での復旧後、5億6,000万円となる見込みだ。

国交省・鉄道事業課の山崎雅生(※崎は「たつさき」)​課長は「かなり素晴らしい案ができている。これがあればJR九州も判断できる」と期待の声を上げる。

この案を受け、JR九州の松下琢磨総合企画本部長は「日常使いというより観光を主体とした案。しっかりと受け止め検討したい」とコメントした。

この検討会議は、2023年度内に次回の開催を予定している。

(テレビ熊本)

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