全国の動物園や水族館で大好きな動物にエサをプレゼントして、応援する新たなサービスが始まった。動物たちのサポートにつながるだけではなく、社会問題の解決にもつながる取り組みとして、今注目されている。新たな「推し活」の現場を取材した。

“推し動物”にプレゼント

10月から始まったサービス『Hello! OHANA』は、自分の好きな動物、いわゆる「推し動物」にエサをプレゼントすることができる「推し活サービス」だ。

エサを食べるゴリラ・タロウさんの動画が出資者に届いた
エサを食べるゴリラ・タロウさんの動画が出資者に届いた
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利用者はまず、ウェブサイト上で全国の動物園や水族館から推し動物を見つけ、2000円から10000円のエサ購入代金を送る。

『Hello! OHANA』がエサを生産者に発注し、プレゼントとして、動物園や水族館に配送される。そのお返しとして、出資者の元にはエサを食べる推し動物の愛らしい動画などが届く。

動物園の経営難

『Hello! OHANA』を運営する株式会社OHANA代表の棚木悠さんに話を聞くと、『Hello! OHANA』を始めた背景には、動物園や水族館、生産者、そして動物ファンが抱える課題があるという。

まず動物園や水族館の多くは、コロナ禍での来場者数の減少に物価高が追い打ちをかけ、経営が苦しい状況だ。

千葉県館山市にある動植物園「アロハガーデンたてやま」もその一つだ。「アロハガーデンたてやま」全体のエサ代は1年間でおよそ550万円かかるが、コツメカワウソの推し活サービスにより、年間約6万円のコストカットができたという。

アロハガーデンたてやま・香取隼人さん
アロハガーデンたてやま・香取隼人さん

アロハガーデンたてやまの香取隼人さんは、経営の改善に繋がると期待しつつ「動物園としてもうれしいお話。行きたいけど行けないというお客様もすごく多かったので、そういう方にもプラスになるかなと思って、始めさせていただいた」と話した。

フードロス解決にも

プレゼントのエサは、形が不揃いな野菜や少し傷がついた果物、大量に水揚げされた魚など市場で売りづらくなったものだ。
そのままの状態で動物たちに届けることで、加工して商品化する手間やコストがかからず、生産者の負担軽減になるほか、フードロス問題の解決にもつながるという。

動物ファンの喜び

動物ファンはこれまで動物園や水族館に足を運ばなければ動物たちと出会えなかったが、サービスによって、場所や時間にとらわれず、全国の動物園や水族館から推し動物を見つけることができる。
さらに、動物たちにエサをプレゼントすることで、エサを食べる姿の動画をはじめ、オリジナルグッズや体験チケットなどの特典が受け取れるのもメリットだ。

アロハガーデンたてやまのコツメカワウソ・ミモちゃん
アロハガーデンたてやまのコツメカワウソ・ミモちゃん

広島県に住む砂川麻由子さんの推し動物はアロハガーデンたてやまのコツメカワウソ「ミモちゃん」。
「サービスを使うにあたっていいなと思ったのは、応援したい動物に課金できるというだけではなく、困っている動物園や生産者の支援になるということ。小さなことでも社会貢献がしたいという気持ちも満たしてくれる」と話す。

動物園・水族館をサステイナブルに

OHANA代表の棚木悠さんは「みなさんと一緒に動物たちの一生に関わっていくことのできるようなサービスへと成長させていきたい」と話す。

株式会社OHANA代表・棚木悠さん
株式会社OHANA代表・棚木悠さん

現在、『Hello! OHANA』では、コツメカワウソやペンギン、ゴリラなど7種類の動物にプレゼントすることができるが、今後はコンテンツを拡充するという。応援できる推し動物を増やすなどして、動物園や水族館を社会全体で支えることができるサステイナブルな支援を目指している。

10月に始まったばかりのサービスがどのように変化していくのか楽しみだ。

フジテレビ
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