自民党の最大派閥、安倍派をめぐる裏金疑惑について、疑惑の議員はさらに増え10人に上り、派閥全体の裏金は、5年間で数億円規模になる可能性が浮上しました。

この記事の画像(15枚)

その中でも、多額の裏金を受け取っていた疑いのある議員が3人浮上。さらに、派閥から議員に現金が渡る際、「政策活動費の名目になるので、収支報告書に記載しなくていい」と説明していた、ということも新たに分かってきました。

過去に物議を醸した議員も…新たに疑惑の持たれた3人

多額の裏金を受け取っていた疑いが持たれているのは、大野泰正参院議員64歳(当選2回・岐阜)、池田佳隆衆院議員57歳(当選4回・比例東海)、谷川弥一衆院議員82歳(当選7回・長崎3区)の3人です。

谷川議員、池田議員が受け取ったと疑われているキックバックは、4000万円超。大野議員は5000万円超とも言われており、収支報告書にも記載していなかったとみられています。

ジャーナリストの岩田明子氏はこの3人について、「パーティー券を買ってくれる親しい企業がいるなど、地元での影響力が大きく、多額のお金を集められたのではないか」と話します。

新たに疑惑を持たれている3人のうちの1人、参議院内閣委員長を務める大野議員は、11日の本会議前に「大変な政治不信を生んでいること、ご心配をかけていること申し訳なく思っています」と5000万円超ともいわれる裏金疑惑について謝罪。

その一方で、詳細については…。

――派閥の、パーティー券のノルマについては?
大野泰正参院議員:

それもう本当に…、精査させていただいている途中でありますので。

――派閥から収支報告書の方に記載しなくてもよいというような説明があった報道もありますが?
それにつきましても精査しております。

――一連の問題をどう向き合うか?
まずはしっかりとあの…なんていいますか、慎重に精査して。

――精査している?
全部精査しているということであります。

「精査」という言葉を10回使い、事実関係の説明について避けました。

一方、4000万円超の裏金を受け取った疑いのある池田佳隆衆院議員は、疑惑が報じられてから国会を欠席。事務所を通じて以下のコメントを発表しました。

「事実関係を慎重に調査、確認し適切に対応してまいります」

4000万円超のキックバックを受け取ったと報じられている、谷川弥一衆院議員は、10日、販売ノルマについて問いかける記者に対して、こう答えていました。

谷川弥一衆院議員:
だから今言った通りって言ってるでしょ。今言った通りって。

――会派の中でそういうことがあった?
まあいいから、その通りって。何を言ってもその通りって。頭悪いね?言ってるじゃないの。

谷川議員は当選7回。過去には文部科学副大臣も務めた、安部派のベテランですが、過去に何度も物議を醸してきました。

2016年には、国会の委員会で質問に立った際、時間が余っているとして、唐突に般若心経を唱え始め…。

谷川弥一衆院議員:
私は禅宗なので、禅の勉強を四十の記念に三年やったんですが、般若心経というのがあるんです。「観自在菩薩行深般若波羅蜜多時照見五蘊皆空度一切苦厄」というんですが。

2019年には九州新幹線・長崎ルートの整備を巡って、方針が違う佐賀県に対し不適切な発言も。

谷川弥一衆院議員:
佐賀の人たちが福岡までしか考えてくれていない。それから先に大阪があってリニアがある。東京があることをなかなかわかってくれない。できれば佐賀の知事さんには、台湾のような付き合いをしてほしい。韓国か北朝鮮を相手にしているような気分だ。

この発言については、その後撤回する事態となりました。

今回の疑惑について、地元・長崎の後援会長は…。

大村市の谷川弥一の後援会 島信行会長:
谷川の性格として、懐に、自分のポケットに入れることは、ないと思うんですよ。
私、ずっと後援会長やっていまして、そういうことはないと思うんですが、それが帳簿に記載されていなかったというのは、やっぱり具合悪いです。ただ、政治には金がかかるというのは、後援会長やっていてよくわかるんです。事務所の維持費とかなんかに金がかかるだろうなという気はしています。

高額の“裏金”疑惑 理由は?

自民党最大派閥に浮上した、数億円規模の裏金疑惑。

現代政治に詳しい法政大学大学院の白鳥 浩氏は、3人の高額な“裏金疑惑”について、このような理由があったのではないかと推測します。

法政大学大学院 白鳥 浩氏
法政大学大学院 白鳥 浩氏

法政大学大学院 白鳥 浩氏:
おそらく3人の背景は色々あると思うのですが、例えば大野さんは大野伴睦さんという政治家のお孫さんなんですね。今参議院をやっていまして、参議院は非常に選挙区が広いので、やはりお金がいるのかなと。
池田さんは小選挙区で出ているのですが、過去3回は比例復活、ライバルが非常に強い方で、それと戦うためにお金が必要だった可能性があると。多分ノルマは低かったと思うんですが、そのノルマ以外が自分の所に来ている。
谷川さんは、彼の選挙区、今度10増10減でなくなるんですよ。去年の知事選になんかでも、対立候補を立てるなどして、かなり色々お金を使って政治をやっていた可能性がありますね。

――収支報告書に記載しなかったのは、お金をばらまいて票を買っている?
場合によってはそういう事もあるかもしれません。
(めざまし8 12月12日放送)