「いや、まさか…」「想像しなかった」福島県田村市民も驚いたのは巨大な石。田村市常葉町に整備が進んでいる、東部産業団地。ここの造成中に想定外の巨石が出現した。大きすぎる想定外に市も困惑している。
想定外の巨石出現
産業団地内にそびえたつ巨大な石。重機も見上げるほどのその大きさは、少なくとも10m以上と推計される。地図上で横幅を見ても、近くにある住宅がすっぽりと入ってしまうほど。

巨石の出現に、田村市の白石高司市長は「一つであれだけのものというのは、想像をはるかに超えたものだった。近くに民家があるので、限られた工法の中で撤去すると、費用と期間が大幅に延長になる」と困惑していた。

以前の土地所有者も驚き
元々は、小さな山のようになっていたこの場所。わずかに石の部分が見えていたが、これだけの大きさは「想定外」だった。

以前の土地の所有者も「黒い部分が出ているから、その後ろはどうなっているのかなという感じで。とにかくびっくり、こんなに大きな石があるとは思いませんでした」と語る。

爆破も粉砕もできず
この巨石の正体は、花こう岩。想定していた柔らかいものではなく、非常に硬い性質。田村市は、近くに民家があり火薬を使うのは危険で、ドリルで砕くには時間も費用もかかるとして、巨石の撤去を断念。

ここには雨水を一時的に貯める「調整池」が整備されているが、石があると十分な貯水量を確保できないとして「より深く掘る」ことに計画を変更した。

計画変更 費用が膨れ上がる
その結果、当初の2億7100万円から6億9900万円へと、費用が膨れ上がった。
また、この巨石以外にも次々と石が出現し、工事は難航。2023年度末に終わる計画だった工事が、2024年9月まで遅れるという。

巨石がゴロゴロ
しかし、なぜこれだけの巨石が現れたのか?都路町観光協会の武田義夫会長に案内してもらったのは、田村市都路町にある高さ10.7m、重さ2800トンもある巨大な石。

亀の頭と甲羅の形をしていることから「亀石」と呼ばれている。武田会長によると「雨風、雪などがつもり重なって出てきたというか。阿武隈山系は、特に花こう岩が多いと言われている」という。

田村市には「亀石」のほかにも、山中にそびえる「男岩」。さらには、巨大な石が真っ二つに割れた「笠石の刃」など、田村市は至る所に巨大な石が点在する地域なのだ。

石とは切れない関係
寺に伝わる書物にも1200年前の出来事に「石」の文字が…渡辺宗貫住職によると雨ごいをした経緯が書いてある書物だという。

雨を降らせた雲が石にとどまって、雨を降り続けさせたというということが書かれている。この寺の名前も「長岩寺」昔から岩に対する信仰心などがあったのかもしれない。田村市にとって、石は切っても切れない関係だったようだ。

観光地にできないか?
かつてない巨大な石が出現した東部産業団地。それだけに、常葉町観光協会の渡邉兵吾会長からは「観光客が来るような観光地にできないかな」また都路町観光協会の武田義夫会長は「エアーズロックとか、そういった名前でもって発信できれば」と観光地化へ声もある。

これに対し、田村市の白石市長は「誘致企業にちゃんとそこで稼働してもらうのが第一義に考えなければならないこと。その後に石についてはどうするかを考えていきたい」と話した。

すでに見物客も
田村市では、点在する石をパワースポットとして売り出しているのだが、巨石出現の産業団地でも、国道沿いにあるので驚いて車を停め見物する人が後を絶たないそう。

2023年10月には、田村市と葛尾村にまたがる山にある五十人石に50人乗れるか?というユニークな実験を成功させた白石市長。

4億2800万円の費用増加に負けない活用法は可能なのか…市民からは、多くの期待の声が届いている。
(福島テレビ)