イヌワシ調査のデータの改ざんの疑いが浮上し、信ぴょう性が疑われている山形・米沢市の栗子山の風力発電計画について、12月5日に国が現地調査を実施した。県も独自に調査団を派遣し、「営巣地の特定」に乗り出すことがわかった。

調査のやり直し求めるも応じられず

営巣地をめぐっては、2023年春、日本イヌワシ研究会が計画地から「数kmのごく近い場所」で繁殖行動を確認したが、JR東日本エネルギー開発が2023年9月に示した準備書で「10.83km離れた場所」と認定したことで、調査データの改ざんの疑いが浮上した。

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専門家が調査のやり直しを求めたうえで、11月に「事業の中断」を求めたが、JR東日本エネルギー開発は応じなかった。

県から調査団を現地派遣へ

地元の住民に対しては、「準備書で示した地点より近い場所でイヌワシの営巣地は確認されていない」などと説明し、イヌワシのエサ場とされる場所で「風況ポール」3基の建設を進めている。

こうした経緯もふまえ、県は、準備書の審査や準備書に対する「知事意見」をまとめるうえで「営巣地の特定が必要」と判断し、早ければ12月8日から調査団を現地に派遣することを決めた。

環境省が先行して現地調査

一方、これに先立ち、環境省が5日午後、栗子山で現地調査を行った。環境省は調査の目的を「準備書の審査のため」としていて、6日には県と協議の場が設けられている。

JR東日本エネルギー開発は、準備書の次の段階となる「評価書」を2024年秋に提出するとしていて、調査団に加わる専門家の今井正さんは、「事業の強行を阻止するという点で、今回の国と県の調査は非常に大きな意味を持つだろう」と話している。

(さくらんぼテレビ)

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