気候変動対策を話し合うため、UAE(アラブ首長国連邦)のドバイで開かれたCOP28。今回から、都市の代表などを集めた会議が初めてCOPの公式プログラムとなった。気候変動において、都市の「重要性」と「責任」が大きいことを示している。
「不都合な真実」が「不都合な現実」に
「『不都合な真実』が、今、『不都合な現実』を見ているわけですね」
小池知事は、アメリカの民主党クリントン政権下で副大統領を務め、環境問題のなかでも地球温暖化への対策の緊急性を世界に訴え続けてきたアル・ゴア氏と同じ会合に登壇後、現在の環境問題をアル・ゴア氏の著書『不都合な真実』になぞらえ、こう発言した。

そして「ゴアさんはご本人のなかに再エネが入っているんだと思います」と、アル・ゴア氏の地球温暖化対策に懸ける現職時以上の“熱さ”を評した。
その一方で、環境大臣時代から参加し続けているCOPについては「開くたびに世界の気候変動を取り巻く環境は悪くなっている。議論しているだけではなく行動する時」と強い口調で訴えた。
壁、ガラス一体型の太陽光発電 日本の技術を“売り込み”
都は、都内で排出されるCO2の7割は建物由来であるとして、2025年から新築住宅等への太陽光パネル設置を義務化する。
「新築住宅等への太陽光発電の設置を義務化するなど、再エネの基幹エネルギー化を加速させ、2030年に都内設備設置量を3倍に拡大します」
小池知事はCOP28で、再生可能エネルギーの都内設備設置量を2030年には2020年の約3倍にあたる200万kwまで拡大させる考えを示した。
都によると、都内の太陽光パネル設置可能な屋根全てに太陽光パネルを設置した場合、約860万kw程度の発電が可能だという。「200万kw」は全体の4分の1弱にあたり、屋根に4kwのパネルを付けた場合、約50万世帯に相当するとのことだった。

また、小池知事がCOPで各国に“売り込んだ”のは、日本発の技術、薄くて軽いフィルム型の太陽光パネル「ペロブスカイト」だ。都心部では、積水化学工業によるビル壁面を活用した「ペロブスカイトによるメガソーラー発電機能を実装した高層ビル」の建設が予定されている。

COPのジャパンパビリオンでの太陽光発電の共通点も「壁面の活用」で、さらに「ガラス一体型」でもあった。大成建設は、ガラスにストライプ状の両面太陽電池を埋め込むことで、窓ガラスの眺望・採光・断熱・遮熱といった基本性能に加え、表裏で同時に発電できる、ガラス一体型太陽光発電システムを展示した。

パナソニックは、ペロブスカイト太陽電池をガラス窓に印刷することで、サイズ、透過度、デザインなどの自由度を高め、これまでのものより安価に太陽光発電ができる、ガラス一体型太陽光発電システムを紹介した。AGCは、建材と発電の機能を持つ、カスタムメイド性の高い太陽光発電ガラスを出展した。
“リアリスト”が進める環境対策
「This is very new」
一方、東京都の小池知事は、COPの公式プログラムとして初めて都市の代表などを集めて開かれた会議に参加し、東京都が世界有数の水素普及機関と連携し、水素取引所を立ち上げる考えを示した。

「金融はとても大きな役割を果たす。さまざまなことを進めるためにも金融はとても大切だ、と申し上げた」
水素の活用は、期待は高まるものの実際にはなかなか進んでいないのが現実だ。長年、環境問題に携わってきた、かつ“リアリスト”だからこそ先立つ資金がなければ再エネは進まないことを痛感しているのだろう。知事就任後知事就任後、初めての2017年度予算編成で約1億4千万ドル相当の発行からスタートしたグリーンボンド。2023年度はソーシャルボンドと合わせ、約7億1千万ドル相当を発行するという。小池知事就任から7年、累計発行額は約27億7千万ドル相当にまで積みあがるという。

2期目を務める小池知事は、2024年7月30日に任期満了を迎える。東京都選挙管理委員会は、小池知事の任期満了に伴う都知事選挙を2024年6月20日告示、7月7日投開票の日程で行うことを決めた。
環境問題はもとより、18歳以下の子供に月々5000円給付する「018サポート」、卵子凍結の補助、スタートアップ支援など新たな施策を出し続ける小池知事だが、どれも“短期決戦”ではない。そんななか、小池知事が2024年の夏の都知事選にどう臨むのか、こちらも注目されている。
(フジテレビ社会部・都庁担当 小川美那)