国連の気候変動対策会議・COP28が30日、UAE(アラブ首長国連邦)のドバイで開幕し、岸田首相も出席する。 

会議では、産業革命前からの気温上昇を1.5度に抑えるための各国の温室効果ガス削減目標の進捗が初めて報告、評価される。 

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しかし、それぞれの目標を達成しても、今世紀末の世界の気温は最大2.8度上昇するとされ、最新の報告書は、1.5度目標を達成するには、2030年までに排出量を43%削減する必要があるとしている。 

EU・ヨーロッパ連合などは、化石燃料の「段階的廃止」を求めているほか、廃止に前向きでなかった日本も今回、石炭火力発電所の新設停止を表明する見通しだ。 

世界では、温暖化による海面上昇で国が水没の危機にさらされたり、異常気象で大洪水などの被害が相次いでいる。 

初日の会合では、被害が多発している途上国を支援する基金の運用開始について合意した。UAEとドイツが1億ドル、日本が1000万ドルなど先進国を中心に資金を拠出し、干ばつや洪水被害などからの復旧を支援する。 

一方で、今回の議長国・UAEは中東有数の産油国だ。さらに議長は、国営石油会社・アドノックのCEO・最高経営責任者も務めるジャベル産業・先端技術相であるため、石油の新規開発を進める立場の人物が議長では、気候変動対策と逆行するのではという批判もある。 

会場には多数の太陽光パネル
会場には多数の太陽光パネル

しかし天然資源が豊富な中東諸国も、干ばつなどの影響を受けていて、気候変動への危機感が強まっている。
今回のCOP28の会場でも大きな太陽光パネルがたくさん設置され、再生可能エネルギーへの投資への力の入りようがうかがえる。
UAEは2030年までに世界の再生エネルギーを3倍にする目標を掲げていて、これは温室効果ガスの排出量が1位の中国と2位のアメリカが11月に共同声明で出した目標と一致する。
ジャベル議長自身も、厳しい目が向けられていることを意識していて、議長としての役割を果たすべく、石油会社CEOという立場からは切り分けると何度も強調している。 

ただ、イスラエル情勢を受けて各国の緊張が高まる中で、バイデン米大統領と中国の習近平国家主席の出席は見送られた。
こうした中で、国際社会が協力して脱炭素へ向けて有効な道筋を示せるか、UAEのかじ取りが注目される。 

田中剛
田中剛

FNNバンコク支局長。2000年フジテレビ入社。情報番組「めざましテレビ」「とくダネ!」でディレクターやコーナーデスクを担当。
2010年から報道局社会部で司法クラブ、宮内庁クラブ、デスクを経て、2022年8月から現職。