2023年の夏、平均気温が平年より1.76℃も高く「観測史上最も暑い夏」となった日本。異常とも思えるこの気温上昇は日本だけなく、世界各地に大きな被害をもたらし、まさに地球規模の課題となっている。

この待ったなしの状況で、11月30日に国連の気候変動対策会議=COP28が始まった。気候変動問題にどう取り組むのかが注目される。

異常気象の影響は世界各地で…

完全に干上がり、ひび割れた地面が露出するこの場所は、本来であれば、スペイン南部の住民8万人分の飲み水をまかなう貯水池だ。しかし、この夏、その大切な役割を果たすことは無かった。

完全に干上がり、ひび割れた地面が露出した貯水池
完全に干上がり、ひび割れた地面が露出した貯水池
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同じ頃、スイス・アルプスの山岳地帯では氷河が解け出していた。氷河の監視団体によると、このわずか2年でスイスに存在する氷河の10%が消失したとみられている。

アルプス山岳地帯では、氷河が解け出した
アルプス山岳地帯では、氷河が解け出した

“地球温暖化”で雪や氷が溶け出す山がある一方、2023年は、世界各地の山や森林が炎に包まれた。

記憶に新しいのが、8月に少なくとも97人の死者を出したハワイの山火事だ。他にもカナダ、ギリシャ、シリアと、大規模な山火事は連日のように伝えられた。

サイクロン、ハリケーンによる死者も

急激な地球温暖化が進むなか、この1年、世界各地で起こった自然災害は多くの人々の暮らしを破壊した。

ブラジルでは、サイクロンによる豪雨で大洪水が発生し、少なくとも11人が死亡。
アメリカ・バーモント州でも豪雨で発生した激しい濁流が街を飲み込んだ。

ハリケーンにより、マンションの壁は剥ぎ取られ無残な姿に…
ハリケーンにより、マンションの壁は剥ぎ取られ無残な姿に…

ビーチリゾート地として名高いメキシコ・アカプルコもハリケーンの猛威にさらされた街のひとつだ。頑丈な作りのはずのタワーマンションは壁が剥ぎ取られ、無残な姿をさらしていた。

破壊されたのは人々の暮らしだけではない。10月にはアマゾン川の支流で、120頭ものカワイルカの死骸が見つかった。その死因について専門家は、深刻な“干ばつと暑さ”によるものとみている。

COP28開幕…根本的な解決策は

こうした自然災害の頻発は、各国が進める温室効果ガス削減への取り組みが十分ではないことを物語っているのか。

ここまでにとりあげた自然災害は、すべてこの1年の間に起きた出来事。この待ったなしの状況で11月30日から始まったのが、国連の気候変動対策会議=COP28だ。COP28では、いわゆるパリ協定で定めた「産業革命前からの気温上昇を1.5℃に抑える」とした取り組みの進捗状況について、はじめて報告されることになっている。

しかし、地球温暖化を食い止める根本的な解決策は見いだせていないのが現状。さらに、会議を取り仕切るUAE(アラブ首長国連邦)の議長は石油会社のCEOだ。こうしたなかで気候変動問題にどう取り組むのかが注目される。
(「イット!」11月30日放送より)

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