古市憲寿のエンタメ社会学」にアーティスト・GACKT登場。
独特の存在感で、我が道を行くイメージだが、次々飛び出す名言に古市が感心しっぱなし。
その不思議な魅力を分析すると、根底にはポジティブに生きるための「GACKT流哲学」がありました。

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古市憲寿:
「芸能人格付けチェック」の番組とかで、本物を見分けられるみたいな力っていうのは、訓練なんですか?
GACKT:
みんな「本物」って言うんですけど、別に本物を見分けているわけじゃなくて、自分の知っている知識を引き出して、どっちがそれかっていうのを当てているだけなので。引き出しを開けて、その情報に当てはめていってるだけでしかないというか。
古市:
すごく準備をされて、訓練もするって聞いてびっくりしたんですけど。
GACKT:
たまたま1回目に出たときにそうなっちゃって、で、次の年も出るってなったときに、「自分である必要はなんだろう?」って思ったときに、しっかり向き合ってやっていこうって。
古市:
バラエティーで真剣に向き合うのはすごくかっこいいなと。
GACKT:
いや、っていうかね、向いてないんですよ。バラエティー。

そんなGACKTさんは最近、「ルアー釣り」にハマり、真剣に向き合っているそう。
しかし、そこには意外な目的がありました。

GACKT
ルアー釣りって、投げて巻いて投げて巻いてを1日500回~600回やるんですよ。
古市:
そんなやるんですね。500回。
GACKT:
そうすると疲れてくるじゃないですか。頭の中はいろんなことを考えなくなって瞑想(めいそう)に近いところまで持っていけるんですよ。
古市:
へぇー。
GACKT:
その状況になるのに8時間から9時間は絶対必要なので。
古市:
なんか大変な人生ですね。趣味に、ここまで体力と知力を費やしてっていうのは…

GACKT
振り返ると大変な人生だとは思ったことないんですよね。面白いなって。
古市:
じゃあいろんなトラブルとかも面白いなって思えちゃう?
GACKT:
「思えるように生きよう」って、なので、トラブルがあっても、「これを5年後に笑うためには何が必要なのか」みたいな。
古市:
でも世間から言われてることと、GACKTさんが見えてるものって、違うことも多いわけじゃないですか。
GACKT:
はい。
古市:
そういうときに分かってほしいと思うのか、諦めちゃうのか?
GACKT:
今のネットのあり方、人のあり方を見ていると、揚げ足を取る人たちは取るんで。
古市:
うん。
GACKT:
言いたい人はいろんなこと言えばいいんじゃないかなって思うんですよ。そこに付き合う必要ないって思っちゃうんですよね。ボクはボクの人生を面白いと思えるかどうかが大事で。周りの人たちが幸せだと思えることが大事。

「こんなにも思っているのにっていう気持ちは、エゴ」

ソロアーティストとして活躍するGACKTさん。かつては大人気ヴィジュアル系バンド
「MALICE MIZER」のボーカルを務めていました。

古市:
「MALICE MIZER」って当時めちゃくちゃ先鋭的っていうか、子どもの頃すごい聴いてました。
GACKT:
ああ、そうですか。
古市:
やっぱり大変でしたか?人間関係とか。
GACKT:
大変ですね。特にボク一番年下だったんで。音楽を作っていく、組み立て方。周りとの付き合い方、向き合い方。メンタル弱い人多いんですよ、ミュージシャンって。いろんなことを考えていかなきゃいけなかったんで、当時は。
古市:
達観というか諦めっていうか、そこがGACKTさんの根っこにある?
GACKT:
「ここまで自分がやっているから相手も応えてくれる」って思うのは、自分のエゴだと思ってるんですよ。それはそのバンドを離れた時にものすごく理解したというか。
メンバーのことをこれだけ愛しているし、こんなにも思っているのにっていう気持ちは、エゴなんだな…って。
だから、どんな手助けであろうが、ボランティアであろうが、それは自分がやりたいからやっている、そう思えるようになって。

さらに今のGACKTさんをつくったのは、型破りな“弱点克服法”なんだそうです。

GACKT
もともとコミュ障なんで。
古市:
ふーん。コミュ障なんですか。
GACKT:
大人になって、自分でコミュ障ってダサいな…って、訓練というかトレーニングで直したというか。ハウスパーティーをやるようになって、最初は10人呼んで、「この10人が満足してもらうためのハウスパーティーにしよう」、次に20人呼んでっていう数字をどんどん増やしていって。
古市:
最大どれぐらい?
GACKT:
最大は120人ぐらいじゃないですか。なんか自分の中で、それぐらいの人数でも回せるようになってるのを実感できたんで、その数字まで行ったわけで。

体調不良を乗り越え完成した映画「コケても責任取りません」

公開中の映画、「翔んで埼玉 〜琵琶湖より愛をこめて〜」で二階堂ふみさんと共に主演を務めています。

古市:
GACKTさんの体調不良で(撮影が)ちょっと中断しちゃった時期があったんですよね。
GACKT:
体調不良を起こして、そこから発声障害が起きて、肌もボロボロになって毛も抜けてていう状況がどんどん悪化していったんですよね。
古市:
でもそこで絶望とかしたわけでもなく?
GACKT:
いや、もちろんその瞬間は絶望しましたよ。ただ、そもそも悩むのも嫌いなんで。まぁ、これも何かの意味があるのかな、とか。これだけ待ってもらったから、みんなの気持ちには応えなきゃっていう思いもあります。

古市:
完成をご覧になってどうですか?
GACKT:
大のオトナがこんなに集まって、お金をかけてこんなくだらない作品を作っていいのかなぁって。監督が変態なんです。どれだけ話しても、監督の頭の中にあることって理解できないんですよ。その時は、この人が天才なのか、すげえラッキーなのか、どっちなんだろう?って。まぁ天才であるのは間違いないんですけど、ラッキーはだいぶ大きいですよ。
古市:
2作目もラッキーでヒットしそうですか?
GACKT:
ラッキーってね…そんなに何回も続かないんですよ。
古市:
どうなるんでしょうね。
GACKT:
ボクみんなに言ってるんですけどね、「コケてもボクは一切の責任を取りませんからね!

(めざまし8 11月30日放送「エンタメ社会学」より)