長野県飯田市南信濃の古い木造校舎に住み着き、住民などから「猫校長」と呼ばれ、親しまれてきた猫が11月7日、天国へと旅立った。人懐こい性格で多くの人に愛された「高峰(たかね)」、先日、お別れ会が開かれ、住民らが集まり手を合わせた。
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ありがとう「高峰校長」
古い木造校舎が残る飯田市南信濃の旧木沢小学校。
その校庭の一画に、25日、住民などが集まった。
花が手向けられた台の近くには、遠くを見つめる猫の写真。長年、校舎に住み着いていた「高峰」だ。

住民や観光客から「猫校長」と呼ばれ親しまれてきたが、11月7日、天国へと旅立った。
木沢地区活性化推進協議会の前沢憲道会長は、「人懐っこい猫で、誰にでも懐き、木沢小学校をPRしてくれました。高峰校長、ありがとうございました」と、感謝を伝えた。

住民、観光客からかわいがられる
住民の膝の上に乗ってくつろいだり、観光客とじゃれあったりー。
「高峰」は、もともと、近くの家で飼われていたが、2008年ごろから校舎に住み着くようになり、以来、校舎の保存活動に取り組む住民有志の協議会が面倒をみてきた。

人懐こくて、自由気ままに過ごす姿から「猫校長」と呼ばれるように。
住民だけでなく、多くの観光客にもかわいがられていた。
2016年には教頭として犬の「ハッチ」が着任。
ただ、警戒心が強くー。
折り合いが悪く、2匹の距離は縮まらなかった。

これからも学校を見守って
2023年春ごろから体調を崩すようになった「高峰」。
体格も細くなり、住民たちも心配していたが、11月7日朝、学校近くの住宅の軒下で倒れているのが見つかった。
推定16歳。老衰とみられている。

25日は、世話をしてきた住民や観光客などが参加し「お別れ会」が開かれた。
校庭の一画には「高峰」のお墓も設けられた。
訪れた人は、「来るたびに出て来てくれて、とても人懐こくて。嫌なこととか悲しいことがあった時は愚痴を聞いてもらったりとか、うれしいことも楽しいことも聞いてもらいました」、「高峰ちゃん目当てに、静岡からバイクでここまで来ていました。来ると必ずお出迎えしてくれる。珍しいですよね、そういう猫はなかなかいない」と、別れを惜しんだ。

「高峰」の力もあり、訪れる人が増えた校舎は、今も住民たちによって大切に管理され、地域の活性化の拠点となっている。
住民たちにとっては、「癒やし」以上に大きな存在だった。
木沢地区活性化推進協議会の松下規代志さんは、「高峰ちゃんありがとう。これからも学校を見守ってほしい。皆さんに愛を届けてもらいたい。笑顔を届けてもらいたい。天国の虹の橋を渡っているかもしれませんね」としのんだ。

地域に愛された「猫校長」。
協議会は、校舎内に写真を展示し、当面の間、追悼スペースを設けることにしている。

(長野放送)