落花生といえば、千葉県が全国一の産地。そこに生産量わずか0.06%の広島県のある地域が挑もうとしている。もとはネギ畑の“連作障害対策”で植えた落花生を、広島の特産品にしようと奮闘する家族を取材した。
独自製法「農業用ハウスで天日干し」
広島の味覚といえば…?街の人に聞くと、瀬戸内の魚、カキ、アナゴなどが挙げられる。今、そこに新たな一品を加えたいと東広島市で作られているものがある。
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11月上旬、東広島市を訪れた石井百恵記者が農業用ハウスの入り口を開けると…
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石井記者:
ずらりと並んで天日干しされていますね!すべて落花生です
これまで広島では全国生産量のわずか0.06%しか作られてこなかった落花生。その栽培を5年前、2018年から始めたのが脇さん一家だ。「農業用ハウスで干す」などその方法も独自に編み出した。
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アグリ アライアンス・脇伸哉さん:
含まれている栄養をしっかりとっていただくためにオリジナルの方法で製造しています
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収穫直後の生の落花生を食べさせてもらった。ゆでて食べられるのは秋の時期だけ。
石井記者:
おいしい!新触感で香りが豊か。どんどん食べたくなりますね
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脇さんは「ゆでた落花生を広島の秋の新しい味覚にしていきたい」と話す。
父の“土作りへの情熱”を知り、脱サラ
それにしても、なぜ広島で落花生なのか。15歳で故郷を離れ、関東地方で会社員をしていた脇さん。
![会社員時代の脇伸哉さん](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/3/8/700mw/img_38405d389f66103dd8d38883f21125f0260157.jpg)
数年前、広島に戻り、ネギなどを栽培する父、伸男さんを手伝うようになった。
アグリ アライアンス・脇伸哉さん:
父の農業に対する熱い思いや、土作りに対する情熱を聞いて、農業というのは非常に魅力的な職業じゃないかと。それで4年前に脱サラをして農業を始めたんです
![ネギを育てる父・脇伸男さん(右)](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/a/2/700mw/img_a2a7ede297ae475fbe39bf2b0c3bd358204238.jpg)
父、伸男さんが17年間、こだわってきたことがある。
父・脇伸男さん:
土作りにお金をかけてきた
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失敗を繰り返して編み出した独自の土作り。土を深く掘り、地中に「あるもの」を作ったという。
![土づくりのため、畑を深く掘り起こす様子](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/5/9/700mw/img_59110e6aa1ba135a255a14a4cbb05825241914.jpg)
それは地下水路。土の中に「暗渠(あんきょ)」と呼ばれる水路を通したのだ。天候によって水の量をポンプで調節し、水はけを良くしている。
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そのおかげで脇さんの畑の土は、ふかふか。カステラ生地の上を歩いているような感触だ。
![水分調節された、ふかふかの土](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/8/8/700mw/img_88d5c2e631dcdfe5bb7b6f20ac5954bd242443.jpg)
こだわりの土で育つ無農薬のネギは、順調に生産量を増やした。ところが、年月を重ねるうち、ネギ畑の連作障害に悩まされるようになったのだ。
アグリ アライアンス・脇伸哉さん:
農薬を使うというのは、われわれの考えと離れてしまうので…
対策として、同じ畑にアブラナ科かマメ科の植物を植えることに。そこに白羽の矢がたったのが、マメ科の落花生だった。
連作障害対策で植えた落花生が…
実は、国産の落花生は国内消費の1割もない。9割以上を輸入に頼っている。しかも国産の80%以上が千葉県産だ。
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アグリ アライアンス・脇伸哉さん:
広島ではほとんど作ってる人がいないので、父が「落花生は面白いんじゃないか」と
![アグリ アライアンス・脇伸哉さん](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/5/c/700mw/img_5c0f923ce5b919b2f361e80f85093712233751.jpg)
父、伸男さんの感が当たり、連作障害対策としてだけでなく落花生の生産量は順調に伸びていった。そして、頼もしい「仲間」も加わった。落花生の焙煎(ばいせん)を担当するのは弟の大輔さん。
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大輔さんは元シェフ。広島市内のイタリアンレストランで働いていたが、6次産業化に向け、実家の事業に加わった。
弟・脇大輔さん:
経験は生かされていると思います。こういう火の入れ方をすれば、こうなるだろうなっていうのはあるので
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料理人として培った腕を生かし、加工品作りも始めた。ピーナッツをぜいたくに味わえる無添加のピーナッツペーストを商品化。
![加工品のピーナッツペーストを作る弟・脇大輔さん](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/9/5/700mw/img_957cb0128216c43aab217bfc2e7f5c8d135326.jpg)
2023年5月、自社ブランドとして焙煎ピーナッツとともに売り出した。
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地域全体で「ピーナッツ産地」目指す
そんな脇さん一家には父の代からのこだわりがある。
アグリ アライアンス・脇伸哉さん:
無農薬で作る。殻も有効利用したいので
農薬を使わないので、落花生の茎や葉をお茶にしたり、殻を消臭剤として使うなど、ごみを出さないような工夫もしている。
![無農薬だから、落花生の茎や葉をお茶に](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/7/d/700mw/img_7d5b855bc9582416bef7b2638ce92dd3201880.jpg)
生産過程でも“土に戻る分解マルチ”を栽培に使用するなど、SDGsを意識した取り組みを行ってきた。
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そして、落花生栽培のノウハウを地域で共有。そこには父、伸男さんの夢がある。
![落花生栽培のノウハウを地域で共有](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/a/4/700mw/img_a40ba2200da6705864a895d68736027c269066.jpg)
父・脇伸男さん:
ピーナッツ産地化。今は千葉の八街市が一番なんですけど、味では負けていません
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落花生を広島の新たな味覚に。その挑戦は始まったばかりだ。
(テレビ新広島)