自民党の派閥の政治資金問題をめぐり、合わせて200万円の不記載があったことが新たにあきらかになった。野党は、ノルマ以上にパーティー券を売った政治家が、その収入を報告せずに「裏金」にしているのではないかという疑惑も追及しようとしている。

派閥にとってのパーティーの“役割”とは一体何なのか、不記載はなぜ起きたのか。

政治資金不記載を野党が追求

参議院予算委員会で27日、補正予算案の審議が始まったが、野党は、自民党の5派閥の政治団体が政治資金パーティーの収入を収支報告書に適切に記載していなかった問題を追及した。

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立憲民主党の石橋通宏議員は「自民党の主要派閥が何年にもわたって、巨額の不記載を繰り返してきたことについて、どうお考えですか」と岸田首相に質問。岸田首相は「(政治資金収支報告書の)修正等について的確に説明することによって、政治の信頼回復に努めていく」と答えた。

自民党の5派閥のパーティー収入約4000万円分の不記載が告発されているが、24日に発表された2022年分の政治資金収支報告書では、新たに複数の派閥で合わせて200万円を超える不記載が明らかになっている。

派閥にとってパーティーというのは、なくてはならないものなのだろうか。

政治資金を集められる便利な手段

派閥や議員個人にとって、パーティーは比較的手軽に政治資金を集められる便利な手段といえる。

岸田派の2019年のパーティーの様子の映像を見ると、1枚2万円のパーティー券を買った多くの人が詰めかけ大盛況となっていた。料理も準備され、地酒コーナーまで用意されていた。

派閥にとっても、お金を集めるのに「パーティーがあるので券を買って参加してください」という方が呼びかけやすい印象がある。それに加えて最大のメリットといえるのが、企業・団体に堂々とパーティー券を買ってもらえるという点だ。

現在の法律では、企業や団体からの政治家個人の資金管理団体への献金は禁止されている。抜け道として、議員が所属する政党支部に献金して、そのお金を議員が使うという手があるが、もう一つの便利な抜け道が、パーティー券なのだ。

パーティー券は企業や団体も買うことができ、20万円以下なら公開する必要がないのでお互いにとって都合が良い。そこで、議員は企業や業界団体に、ここぞとばかりに買ってもらうわけだ。また、企業や団体にとっても、パーティーに行けば政治家や有力者と直接会って話せるというメリットがある。

では、パーティー券は実際にどれくらいの売り上げになっているのか。

先週発表された報告書では、2022年は岸田派・茂木派・二階派が約1.8億円、一番多かった麻生派は2.3億円を売り上げた。派閥の収入の8割ほどを占めている。

報告せず裏金にしている疑惑も

今回なぜ、問題になっている不記載が起きたのだろうか。

政治資金規正法では、一つの企業団体に20万円を超えてパーティー券を売った場合は、収支報告書に記載することになっている。

しかし、例えば派閥からパーティー券を売るようにノルマを課された3人の議員が、それぞれ一つの団体に10万円ずつパーティー券を売ったとする。この場合、団体は報告書に「30万円を派閥のパーティーに支出した」と書くが、派閥は3人の議員から代金をもらっても、それぞれ20万円以下なので団体からだとしっかり確認せず、「記載する必要はない」と判断してしまったというのが、現在の説明だ。

ただ、もっと大きな問題になる可能性が指摘されているのが、ノルマ以上にパーティー券を売った政治家がその収入を報告せずに、「自分の自由に使えるお金」、言い方によっては「裏金」にしているのではないかという疑惑だ。野党もそこを追及しようとしている。

その裏金の疑惑も含め、今後、政治資金規正法違反の罪で公民権停止にまで発展する可能性もあるのだろうか。派閥としては「記載ミス」ということで収めたいが、すでに東京地検の捜査が入っているため、まずはその行方を見守ることになりそうだ。

裏金のような不透明なお金の流れが出てくると、派閥の構造そのものを大きく揺るがすことにもなり、岸田政権にも大きな影響を与えそうだ。
(「イット!」 11月27日放送より)

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