スーパーなどで陳列する野菜の中には、似たような見た目が多くある。形や色に特徴があれば間違えないが、特に葉物野菜は名前が書いていないと不安になる人もいることだろう。購入する野菜を間違えてしまったという経験をした人もいるかもしれない。
そんな似たような野菜の見た目を、逆に利用したゲームが登場した。それが「マジで草。」だ!
これは葉物野菜がプリントされたカードを使った神経衰弱をするゲーム。
20枚の「野菜カード」には、ほうれん草や小松菜などの普段よく見かける野菜から、少しマニアックな野菜も加えた、全10種類の“見た目が似ている葉物野菜”が描かれている。
基本的な遊び方は通常の神経衰弱と同じで、カードを裏返しに置いて2枚引き、同じ図柄の野菜を揃えると自分のものにできるというもの。
さらに、ワンランク上の楽しみ方として、セットにある10枚の「名前カード」を使う遊び方も。野菜の原産国やおすすめ料理などの豆知識が書いてある「カード」だ。
2枚の「野菜カード」を揃えた後に、その野菜の名前が書いてある「名前カード」を取って宣言。正解すれば3枚とも自分のものにできる。
めくるだけなので誰でも簡単に、しかも、遊びながら野菜の勉強もできてしまうという一石二鳥のカードゲームとのことだ。
11月27日からクラウドファンディング「Makuake」で先行予約販売を開始したが、2日ですでに目標の100%を達成した。
きっかけは「葉物野菜がどれも同じに見える」
葉物野菜の見分けが付かない人にとっては、難易度が高いゲームとなりそうだ。一体どのようなきっかけで思いついたのだろうか? また10種類の野菜は何を基準に選んだのか?
開発したクリエイターのもときれおがさんに話を聞いた。
ーー ゲーム考案のきっかけを教えて。
考えついたきっかけは、単に「葉物野菜がどれも同じに見える」からです。スーパーの野菜売場に行くと、たくさんの野菜が陳列されていますが、どの野菜も緑・緑・緑。小松菜、ほうれん草、青梗菜(チンゲンサイ)は、値札が無ければ見分ける自信がありませんでした。
その時にふと「葉物野菜で神経衰弱を作ったら激ムズゲームになるのでは」と思いつきました。そして、このゲームがあれば葉物野菜の見分けが付かない人や小さな子どもが野菜について学ぶきっかけにもなるとも思いました。
ーーどのような流れで商品化になった?
スーパーでの思いつきを簡単にビジュアル化してX(旧ツイッター)に投稿したことが商品化を目指す第一歩でした。
小松菜、野沢菜、ほうれん草、ちんげん菜の神経衰弱ゲームがあったら激ムズだと思う。 pic.twitter.com/XnEPunO3vt
— もとき れおが / 文具デザイナー (@reoga_motoki) April 10, 2023
Xに投稿したところ思いの外、反響があったので手作りサンプルを作って仲間内で遊んでみることにしました。すると、これまた結構盛り上がりまして、その場でクラウドファンディングを実施する案が挙がり、現在に至ります。
ーー商品名「マジで草。」はどのように決定したの?
これまで様々な製品を作ってきましたが、ネーミングで人を惹きつけることは、非常に重要な要素だと感じています。「マジで草。」もアイデアの発案時は「草カード」という名前でしたが、クラウドファンディングを行う上ではインパクトのあるネーミングが必要だと思い、色々な方向で考えている中で「マジで草。」というネーミングに行きつきました。
検討時は「草生える」「草こえて草原」「草こえて森」などネットスラングの「草」を軸に検討していました。最終的には「本当に笑える」という意味と「本当の草を使っている」という2つの意味がクロスする「マジで草。」というネーミングに決定しました。
スーパーを何軒もハシゴ!撮影に苦労とこだわり
ーー10種類の野菜は何?どのように決めたの?
(1)ほうれん草(2)小松菜(3)パクチー(4)春菊(5)からし菜(6)三つ葉(7)イタリアンパセリ、残り3種類は、届いてからのお楽しみにしたいのでシークレットでお願いいたします!
選定理由はいくつかありますが、1番は似ている野菜が存在することです。葉物野菜であっても色や形が特徴的なものは、見分けがつきやすいので、なるべくシンプルで色や形に特徴がない野菜。かつ、似ている野菜が複数存在するものを選びました。
もう1つ重視したのは、日本のスーパーでよく見かける野菜であることです。見た目が似ていても、見たことのない野菜ばかりではゲームとして面白くありませんし、見分けられるようになったとしても日常生活で役に立たない知識になってしまうので、一度は見たことがあるような、日常生活で出会う一般的な野菜を選びました。
ーーこだわった部分はある?
撮影する野菜を選ぶようになってから初めて気が付いたのですが、同じ野菜でも産地によって茎が長かったり、色が濃かったりと微妙に見た目が異なることに気づきました。なので、色やサイズが似ている野菜を買うために、スーパーを何軒もハシゴしたのは、いい思い出です。笑
ーー苦労した点は?
やはり、撮影には1番気を使いました。見た目を少しでも似せるために、生け花のように枝葉をカットしたり形を整えたりしました。また、野菜なので美味しそうに見えた方が良いと思い、撮影の直前に野菜を氷水に浸し、シャキッと新鮮に見えるように工夫しました。
「想像以上に難しいゲームになった」
ーー完成した出来栄えや実際に遊んでみた感想を教えて。
概ね満足のいく完成度だと思っています。そして、自分が想像していた以上に難しいゲームになったと思いました。撮影している時は「結構違いがあるもんだな」なんて思っていましたが、実際にプレイして「裏返しのカードをめくる」という動作が入るだけで、途端に見分けるのが難しくなります。
ーーちなみに、野菜の見分けは付くようになった?
なりました!収録されている野菜であれば、名前まで答えることができると思います。
ーークラウドファンディングの反響についてはどう感じている?
この取材時(11月29日)には目標金額を達成することができました!率直に嬉しく思っています。もう少しSNSで盛り上がると思っていましたが、期待しすぎました…苦笑
ーーどんな人におすすめしたい?
誰もが1度はやったことのある神経衰弱をベースにしているので、老若男女、全ての人におすすめできるゲームですが、あえてターゲットを絞るのであれば、初対面の人との「コミュニケーションツール」、小さなお子さんの「食育ゲーム」、高齢者の「脳トレゲーム」などで活躍するゲームだと思っています。
「マジで草。」の一般販売予定価格は1個1500円(税込)だが、12月18日まではクラウドファンディングで1350円(同)で応援購入できる。
これで遊んだ後は、スーパーなどで本物の野菜を見ると、より見分けが身につくかもしれない。楽しく遊びながら、野菜の勉強の一環になりそうなゲームだろう。