島根・大田市の大森町で、新しい“留学”制度「保育園留学」が始まった。1~2週間、家族で地方に滞在し、その間、子どもたちは保育園で過ごし、親はリモートワークをしながら、地方の暮らしを体験するプログラムだ。
“留学”する家族の受け入れが始まっている。
2週間、大田市大森町の保育園に登園
世界遺産・石見銀山のまち、大田市大森町。
朝8時過ぎ、伝統的な街並みに馴染む古民家を改修した「大森さくら保育園」に、子どもたちが次々と登園した。
実はこの中に、小さな“留学生”がいた。東松陽くん(3)、郁ちゃん(3)、碧くん(3)。三つ子のきょうだいだ。3人は東京からやって来た。
![陽くん](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/2/b/700mw/img_2bc5d3cc0f17d0ac69162e82bddbd94a468936.jpg)
![碧くん(左)、郁ちゃん(右)](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/7/0/700mw/img_70e4ff776c25afc05007ddcf30d746c1529578.jpg)
「保育園留学」の子どもとして、さくら保育園で2週間過ごす予定だ。町が“まるごと”文化遺産になっている大森町が、園児たちのお散歩コース。
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この日、目指したのは近くの神社。境内には緑がいっぱいで、格好の遊び場だ。
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たくさんの友だちと遊ぶ陽くん。「クモの巣あるから気をつけてね、みんな」と声をかけてくれた。自然の中で過ごすひとときは、都会では味わえない、特別な体験だ。
「子どもたちに田舎を体験させたい」
3きょうだいが保育園で過ごしている間、母の恭代さんはリモートワーク中。環境コンサルタントとして働く恭代さんは、子どもたちと4人で大森町を訪れた。2週間の予定で「保育園留学」している。
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3きょうだいの母・東松恭代さん:
田舎らしい田舎が子どもたちになくて、おばあちゃんの家はあるんですけど、名古屋のマンションで、環境としては東京とあまり変わらなくて
「子どもたちに田舎を体験させたい」と大森町への「保育園留学」を決めたそうだ。
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実際に大森町で“留学”して、恭代さんは「私も子どももすごく楽しんでいる。保育園のお散歩で集めたものを母ちゃんの誕生日プレゼントにするって持ってきてくれてうれしかった」と話し、東京ではできなかった体験を喜んだ。
全国35カ所の施設で「保育園留学」を受け入れ
この「保育園留学」を企画した東京の「キッチハイク」は、食や暮らしの分野で地方創生を目指す会社だ。
地域にある宿泊施設を家族の滞在場所として活用し、保育施設の「一時預かり保育」制度を組み合わせて旅行商品化し、2021年から提供を始めた。現在、全国35カ所の保育施設がこの「保育園留学」の受け入れ先になっているという。
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今回のように、大田市に2週間滞在する場合、費用は宿泊費と保育料を含めて1家族37万円余りからとなっている。
「保育園留学により未来が変わっていくのでは」
大森町に住む松場奈緒子さんは、「大森さくら保育園」の運営に携わり、「保育園留学」の受け入れを決めた仕掛け人だ。2023年4月から受け入れを始め、これまでに15世帯を留学生として迎えた。
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NPO法人 石見銀山いくじの会・松場奈緒子さん:
「保育園留学」について初めて聞いたときは、今まであったものの組み合わせなんだけど、すごく新しく感じるし、いいところを突いたなあと思った
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松場さんは人口減少に悩む大森町にとって、歯止めをかける糸口として、また、緑豊かな世界遺産のまちで都会の子どもたちが成長していく姿に、大きな可能性を感じるという。
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NPO法人 石見銀山いくじの会・松場奈緒子さん:
大森町以外の子どもたちにも、この地の魅力をフルに活用して保育を提供することで、未来が変わっていくんじゃないかと。大げさにいうと、それくらいの感覚も持ち始めました
子どもたちが町に活気を呼び込み、町の暮らしが子どもたちの新しい気付きを生み出す…
その相乗効果がどのような未来をつくることになるのか。
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コロナ禍で広がった「リモートワーク」という新しい働き方がもたらした、地方と都会の新しい交流のかたち「保育園留学」のこれからに注目だ。
(TSKさんいん中央テレビ)