いわゆる“大麻グミ”をめぐる問題で、厚生労働省は11月22日、大麻の成分に似た合成化合物「HHCH」を指定薬物に追加した。これにより、大麻グミの所持や流通、使用が禁止されるが、都内の販売店には関心を持って訪れる客が増えているという。一方、専門家は今後も“類似成分の商品”に注意が必要だと警鐘を鳴らす。

「完売状態」規制開始まで販売継続の考え

取材班が向かったのは、東京都内にある大麻グミの販売店。大麻グミを食べ体調不良を訴えるケースが相次ぐ一方、店には新たに関心を持って訪れる客が増えているという。

興味を持って来店する客が増え「完売状態」だという
興味を持って来店する客が増え「完売状態」だという
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店舗のスタッフに話を聞くと、「グミとか興味を持っていらっしゃる方が増えたので、完売している状態」だという。

こうした中、厚生労働省は22日、大麻の成分に似た合成化合物「HHCH」を指定薬物に追加した。10日後の12月2日から所持や流通、使用が禁止される。

東京都内にある大麻グミの販売店。HHCHの成分を含んだ商品がまだ複数並ぶ。
東京都内にある大麻グミの販売店。HHCHの成分を含んだ商品がまだ複数並ぶ。

しかし、驚いたことに、取材した店の店頭には、まだHHCHの成分を含んだ複数の商品が並べられていた。

店舗スタッフは「仕入れを行って販売している以上、赤字になってしまう。規制されていくと。本当に愚策だなと。(グミは)製造自体もストップすると思うので、これ以上仕入れる予定はない」と話す。規制が始まるまでは販売を続け、売れ残った場合は処分する考えだという。

厚労省はHHCH成分を含む製品については、販売・購入・使用などを控えるよう呼びかけている。

規制前の“駆け込み客”も…

一方、都内の別のグミ販売店には、規制前に購入を急ぐ“駆け込み客”が相次いで訪れていた。

都内の別のグミ販売店では“駆け込み客”が見られた
都内の別のグミ販売店では“駆け込み客”が見られた

“大麻グミ”を購入した男性:
HHCHのグミを買いました。

――買うのは何回目?
“大麻グミ”を購入した男性:

初で。調べて店が出てきたので、ちょっと買ってみました。リラックス効果があるみたいな感じだったんで、ちょっと興味本位で食って、ちょっと解放されればと思って。体が楽になるかなと。

“興味本位で初めて買った”という
“興味本位で初めて買った”という

大麻グミの使用や所持はあと10日で違法になる点について、どう考えるのか。

“大麻グミ”を購入した男性:
ちょっと怖いので、食うか捨てます。

第2、第3の薬物が出てくる可能性

さらにネット上では、オークションサイトでHHCHと類似する「HHCPO」という成分の配合をうたう商品が売られていた。

専門家は、今後出回ることが予想される“HHCHの類似商品”にも注意が必要だと警鐘を鳴らす。

“HHCHの類似商品”にも注意が必要
“HHCHの類似商品”にも注意が必要

法科学研究センターの雨宮正欣所長は、「第2、第3の薬物というのが出てくる可能性が極めて高い。構造が(HHCHと)ちょっとだけ違っているだけで、ほとんど同じようななものですから、どんな毒性が潜んでいるかわからない。これが一番の危険性なんですね」と指摘する。

厚労省は、HHCHと類似する化合物に広く網をかける包括指定を検討する方針だ。
(「イット!」11月22日放送より)

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