一般ドライバーが自家用車で客を運ぶ「ライドシェア」。岸田総理が解禁に向けた検討を表明し、今後、議論が本格化する見通しだ。安全性や利便性はどうなっているのか?すでにライドシェアが浸透しているタイの現状を取材した。
ついに日本でも?ライドシェアの行方
一般のドライバーが自家用車を使って客を有償で送迎するライドシェア。
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日本ではいわゆる“白タク”行為として法律で認められていないものの、岸田総理は10月に「地域交通の担い手不足や移動の足の不足といった深刻な社会問題に対応しつつ、ライドシェアの課題に取り組んでいく」と、導入も視野に入れた議論を進める考えを口にした。
![タイではライドシェアが日常生活に欠かせない存在に](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/2/1/700mw/img_212ff348999ac1840774ab77f41836af66259.jpg)
ライドシェアはアメリカや中国といった多くの国々ですでに普及していて、タイでも日常生活に欠かせない存在となっている。
タイで浸透するライドシェア 市民の足に
最も使われているのは2013年からサービスを開始した「Grab」という配車サービスアプリで、東南アジア8カ国で利用が可能だ。10カ国語に対応していて、日本語での予約も出来る。
![最も使われている配車サービスアプリ「Grab」](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/a/b/700mw/img_abe945d71af0a815477ffaf916051fc449924.jpg)
運転手には以下の7つの条件を満たせば誰でも登録可能となっている。
1)21歳以上で有効な運転免許証を所持し、1年以上の運転経験があること
2)10年以上経過しておらず、運転に問題のない車を所有していること
3)運転免許証、車検証、自動車保険などの有効な書類を所持していること
4)いかなる理由でも運転免許を取り消されたことがないこと
5)現在、犯罪または軽犯罪で起訴されていないこと。または裁判を待っていないこと
6)心身ともに健康であること
7)65歳以上の人は自費で健康診断を受け、診断書を提出することに同意すること
![タイのライドシェアのドライバー](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/f/7/700mw/img_f79cd342a2d22aab01317fc4588c352e65152.jpg)
話を聞いたドライバーはライドシェアを“本業”としていて、1日14時間ほどの稼働でガソリン等の経費を差し引くと利益は日本円にして約4100円。空いた時間を使用しながら副業として行っているドライバーも多いが、アプリ上で位置情報やドライバーの情報なども管理されていて、事故や犯罪の抑止につながっているという。
タイ在住の日本人女性は「夜遅い時などはレディース専用を選んでいる。値段もわかっているから安心」と話し、同じくタイ在住の日本人男性も「タクシーよりも良い車が来る。自分の車だからキレイにしてあるので、タイでは良いことの方が多い」と肯定的だ。
日本ではタクシー業界の反発根強く
一方で静岡県タクシー協会は「安全管理が不十分」としてライドシェアの導入に反対していて、村上雅則 専務理事は「安全・安心に利用してもらうことが一番の課題であり、常に心がけてやっている。その意味からすると、信頼できないようなものは認めたくない。気軽に始められるということでライドシェアのドライバーになられると、2種免許を取得してタクシードライバーになろうという人が減ってしまうのではないか」と懸念する。
![静岡県タクシー協会・村上雅則 専務理事](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/a/5/700mw/img_a5aad4526edda1ff17c703afa2d2e4ee41438.jpg)
静岡市内のタクシードライバーもまた「ライドシェアの台数が増えれば増えるほど売り上げが少しずつ減ると思う」と不安げな様子だ。
![タイではタクシーも「Grab」に登録している](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/e/c/700mw/img_ec0a2637568231a21d14884657dcc5b661807.jpg)
ただ、タイでは「Grab」にタクシーも登録できるため、多くのタクシードライバーが「Grab」を経由した仕事を得ていて、あるタクシードライバーは「Grab」に登録してからあてもなく走り続けたり、駅前やデパートで長時間待ち続けたりすることが少なくなったという。
広がるライドシェア ペットも一緒に?
また、サービスは様々な形態へと広がっていて、タイでは車だけでなく、バイクのライドシェアも人気だ。タイの首都・バンコクは渋滞の酷さが“有名”だが、バイクは小回りが利くため渋滞もなんのその。車と車の間を抜けていく。
![”バイク”のライドシェアも](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/d/f/700mw/img_dfe50417a3a40c895ac7e08141db8ff458286.jpg)
例えば4キロ離れた目的地まで乗用車だと40分かかるところ、所要時間は半分の20分。料金も乗用車の半分以下の250円。バイクならではの“速さ”と“安さ”が売りとなっている。
![ペットと乗車可能なサービスも](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/5/6/700mw/img_56c4f5ff0f8866d5bf4ec9bd27a42eab53814.jpg)
さらにペットとの乗車が可能なサービスや高級外車での送迎を依頼できるオプションなど、ライドシェアが浸透し様々なサービスが展開されているタイ。すでに生活になくてはならない存在となっている。
(テレビ静岡)