民泊新法施行 伸び悩んでいる届け出数

訪日外国人の増加によるホテル不足や、違法民泊に対応するため、民泊新法が15日から施行された。
新法施行のねらいは「健全な民泊」の普及。
民泊が急速に普及し、違法民泊が問題になっていることなどを受けたもので、営業日数の上限は年間180日までと定められ、都道府県知事や国土交通省大臣などへの届け出や登録が必要となる。

関係者は、法施行によって、違法と適法の境界かがはっきりするため、違法民泊が排除されていくと期待しているが、届け出数は伸び悩んでいるのが現状だ。

煩雑な民泊新法の手続き

民泊運営会社「マツリテクノロジーズ」の吉田圭汰CEOによると、民泊新法をめぐる手続きの難しさが背景にあるという。
「政府のガイドラインと、市区町村のルールが少しずつ異なっていて、必要になってくる文書のひな型が違ったり、求められる情報が違ったりして、それが煩雑で理解しにくく把握しにくい」と話す吉田氏。

「民泊新法の申請では、消防への消防設備に関する届け出、保健所へのごみ清掃の届け出、それ以外にも、事業者として物件の運営管理をどのように行っていくかなどの届け出が必要。」
提出する書類やルールが自治体ごとに異なるため、物件の所在地に応じて個別の対応が求められている。

吉田氏によると、こうした届け出をめぐる煩雑さに加えて、新たな設備を設置するための費用の負担も重なることで「個人にとっては、非常にハードルが高い」という。
割に合わないことから、脱退する事業者もいるという。

「マツリテクノロジーズ」吉田圭汰CEO

民泊の使い方が変わっていく?

ニッセイ基礎研究所の佐久間誠研究員は「法律をきちっと守ることができるかどうか、そして、違法民泊の摘発をどこまでできるかがポイント」と指摘した上で、「民泊仲介サイト側も、新たなサービスをどんどん打ち出してくる。また、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの時には、民泊の使われ方も変わっていると予想する。新法が施行後も内容を見直していくことは必要」と話す。

今回の新法施行をめぐっては、大手コンビニエンスストアもサービス参入を表明するなど、今後もさまざまな企業が市場に参入してくることが予想されている。

訪日客の数をさらに増やすためにも、民泊が整備されないことによって、“民泊好き”の客が日本以外の国を訪れてしまう、機会損失は避けたいところ。佐久間氏は、「民泊を普及させるためにも、民泊物件施設自体の魅力を充実させることに事業者がより責任をもつことが必要」とも話す。

いかに快適な空間を作るか

実際に「マツリテクノロジーズ」では、運営する物件の壁に絵を飾るなど、民泊に泊まる人が、快適に過ごせるような空間を意識的に作っている。

「最低限のものだけをそろえた民泊だと、物件が増えてきたときに、泊まってもらいたいと思ってもらえない、競争力や稼働が落ちてしまう。」と担当者は説明する。

「マツリテクノロジー」運営の民泊施設

今月15日の民泊新法施行は「民泊業界スタートの日」(マツリテクノロジーズ吉田氏)、新法施行によって、民泊業界を健全に成長させていくための取り組みが、今後関係者には、より一層求められていくことになる。


(フジテレビ経済部デスク 西村昌樹)