サウナ発祥地のフィンランドに古くから伝わる、樽型の形をしたバレルサウナ。室温は30分ほどで120℃にもなる。また、フィンランド式サウナに欠かせないロウリュも。そんな「メイドイン福島」の本格的サウナの製作に乗り出した、福島県内の企業を取材した。
メイドイン福島のサウナストーブ
福島県泉崎村にあるフジ機工。近藤有美社長が「私たちは元々ストーブを作ることはやっていなかった」と話すように、サウナストーブ製作はゼロからのスタート。

試行錯誤を重ねること約1年、総合加工メーカーとして培ってきた溶接の技術などをいかし、もうすぐ受注販売を始める予定だ。
安全性やメンテナンス性に優れているだけでなく、煙が出にくい構造のため住宅地でも設置できるのが大きな特徴。

人材確保も視野に
開発を後押したのが、このところのサウナブーム。しかし、中小企業を取り巻く“人手不足”も背景にあったという。近藤社長は「こういったサウナストーブを通じて、あの会社はサウナストーブを作っているんだな。興味があるから会社を見てみたいな、知ってみたいな、と思ってもらえればいい」と話す。

自社ブランドのメリット
完成に向けて大詰めを迎えていたのが、大型のサウナストーブ。11月18日に福島県塙町で開催されるイベント「サウナヴィレッジしらかわフェスタ」でデビューを飾る予定。
ブランド名は「鉄頂」。山の頂を意味する、福島県の県南地方の方言が由来だという。

溶接を担当したフジ機工の畠山純さんは「自社ブレンドとして製品化することにより、今後も自分たちで値段を決めて市場に売り出せる。かなり大きなメリットがあると思う」と話した。

バレルサウナもメイドイン福島
さらに、樽型の「バレルサウナ」を製作しているのが福島県西郷村の「ZELKOVA」。こだわった点をZELKOVAの深谷瑠那さんは「やはり県産のヒノキ材を使っているのが特徴。香りがいいので」と話す。

得意をいかし新たな挑戦
空前のサウナブームと言われているが、国内で販売されているのはフィンランド製や価格が安い中国製が多いという。そうしたなか目を付けたのが、関連会社の白岩工務店が得意とするケヤキの加工技術を活かした「福島県産バレルサウナ」の制作だった。

厳しい建築業界 打開の一手
「メイドイン福島」のバレルサウナは、現状を打開する“一手”でもあったという。「最近少子高齢化・人口減少により、新築住宅のニーズがかなり減ってきている。さらに資材高騰によって、このままではちょっと厳しいなということで、一般消費者向けにバレルサウナの販売を行うことになったのが経緯」とZELKOVAの深谷さんはいう。

サウナブームに端を発した、新たなモノづくり。それは、地域や業界が抱える課題解決に向けたチャレンジでもあった。
(福島テレビ)