2025年大阪・関西万博開催に向けて、莫大な追加建設費の問題が取り沙汰されるなか、今度は国会で、“あるシンボル”が取り上げられました。

立憲民主党 中谷一馬 議員:
私は身を切る改革どころか、世界最大級の無駄遣いだと思っているのですがいかがでしょうか?

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11月8日水曜日、野党が厳しく追及したのは、大阪・関西万博の費用問題。

問題の1つとして取り上げられているのは、万博のシンボルとして建設されている「大屋根」。通称、木造リングです。

屋上からは会場全体を見渡せるだけでなく瀬戸内海を望むことができるといいますが、この木のリングの建設費用は…なんと350億円。

立憲民主党 中谷一馬 議員:
今まさに話題になっているこのリングですね。これに350億円かかる。そもそも何で必要なんですかね?

自見英子  万博担当相:
夏の暑い時期に開催されますので、このリングの上に屋根を付けて頂くことで、日よけの熱中症対策としての大きな役割も果たしてございます。

立憲民主党  中谷一馬 議員:
日よけに350億円を国民の皆さんが求めているとお考えになられているかということを確認したい。だってこれ壊すんですよね?

自見英子  万博担当相:
国民にとって必要でございます。

「国民に必要なもの」と答えた、自見万博担当大臣。

万博の建設費をめぐっては、当初、約1250億円を計上していましたが、設計の変更などを理由に1850億円に増額。そして先月には、資材や人件費の高騰を理由にさらに500億円多い、最大2350億円になる見通しを示しました。

これは、当初の予定の約1.9倍にあたります。

各国の参加も暗雲漂う…? “撤退ドミノ”

そんな中、参加する国から“撤退ドミノ”とも言える動きが出てきています。

メインとなる各国のパビリオンに当初60カ国が出展予定でしたが、このうちメキシコが予算確保の見通しが立たないなどとして撤退する意向を関係者に伝えたというのです。

メキシコ以外にも複数の国が撤退する意向を示しているという情報も。

ブラジルは独自のパビリオンを建設する方針でしたが、断念し、日本の博覧会協会が代理で建てるプランに変更したことが判明しています。

10日、吉村大阪府知事はこの状況について…

吉村洋文 大阪府知事:
正式にですね、そういった情報が来ているわけではありませんので、個別の国の参加の状況については控えさせてもらいたいと思います。

めざまし8スタジオ白熱! 橋下弁護士が語る「誘致の目的」

2025年の開催まで残された時間は500日あまり。

費用など懸念点も多いなか、めざまし8コメンテーターの元大阪府知事・元大阪市長の橋下徹氏は、万博誘致の旗振り役でもあった立場で今どう思うのか、じっくり聞きました。

MC 谷原章介:
メキシコのこのバビリオンからの撤退、ニュース聞いた時、どう思われました?

橋下徹 元大阪府知事・元大阪市長:
残念ですが、僕はもう撤退するんだったら撤退でいいと思います。開催国を増やすことが目的ではないので、できるところに集まってもらって無理なところには撤退していただくことで、全然問題ないと思う。騒ぐことでは僕はないと思ってます。

各国のパビリオンには4タイプある
各国のパビリオンには4タイプある

パビリオンには4タイプあり、タイプX、B、Cの3つは万博協会が例えばプレハブ工法で簡易施設を建てたり、パビリオンを作るという形になります。一方でタイプAというのは、参加国が独自のデザインで、自国で費用を負担して建設する、つまりより積極的な参加をしていく形となり、費用が一番大きくなります。今回メキシコが撤退を表明したのは、このタイプAとなります。

パビリオンタイプAから他タイプに移行する動きも
パビリオンタイプAから他タイプに移行する動きも

谷原章介:
まだまだ、これからタイプAからタイプX、B、Cに移行する国が他にも出てくるかもしれませんが、どういうふうにこの問題対処していけばいいと思いますか?

橋下徹 元大阪府知事・元大阪市長:
僕が言い出して、きちんと方針とかコンセプトとかを固めても、関係者全員にそれを徹底する前に政治家を辞めてしまってある意味無責任な状態になってしまい、その後の人たちが一生懸命やってくれているところに本当にありがたく思うんですけども、やっぱりこれは方針を明確にしきれてなかった僕の責任だと思うんです。

(フジテレビ解説委員の)風間さんからも先々週ぐらいに「万博って古いんじゃないか?」と言われましたが、高度成長時代のやり方をそのままやってた、確かにそう思われますよ。でも僕はこれ、技術を出す万博で、少子高齢化時代の世界各国がいろいろ課題にぶつかるので、そのソリューション、課題解決策を提案する万博という方針でやったつもりです。

箱物で競うんじゃなくて中の技術である意味競い合うような、そういう万博でやってほしかったんですが、僕に説明させてくれれば、もうちょっとうまく説明できるんじゃないかなと思うんですけどね。

谷原章介:
どういう万博なんだって中身って、あんまり伝わってこないんですね。

橋下徹 元大阪府知事・元大阪市長:
だから、もうタイプAなんかいらないと思うんですよ、今回の万博は。もうタイプBで十分でね。一見見てなんかしょぼいというか、華やかさはないけれども、入ればその技術が結集しているというような。新たな、その今までの万博とは違う万博ってことを、しっかり説明して打ち出せば、風間さんにもご理解いただけるのかなと思ったんですけど…。

風間晋 解説委員:
こういう状況になったからそのタイプAだとかタイプXだとか言い始めただけで、じゃなかったら、全然議論にもなってないわけじゃないですか、そもそもが。「これいけるよね?」みたいな話でしかないわけで。

AからXにした国も、じゃあそのままXでいてくれるのかって言ったら、まだまだわかんないじゃないですか。なんでこメキシコが無理なのかって言ったら、ここのところのエネルギーや食料の高騰を自国通貨安でもう自国のその経済対策が手一杯で、そんなとこやってられないっていうことのわけですよね。でも、それは日本も同じなんじゃないですか?

橋下徹 元大阪府知事・元大阪市長:
ただ、少子高齢化時代を迎えて、医療にしても、ライフサイエンスにしても、それから、食料の問題にしても様々な世界規模で課題にぶつかるわけですよ。その解決策を世界各国で出し合って、イベントで何かみんなで楽しんで、ワイワイするお祭りじゃなくて、この課題解決策を提供する、その技術にお金をしっかり出す。

それから経済効果っていうのは、僕はあんまり気にする必要ないと思うんですけど、一応、経済効果積算するとで2兆8000億円とか。要はインフレで物価高騰なってますから、経済効果もこれは上がっていくんですよ。愛知博でも一応、計算上は万博やった後に6兆とか、7兆の経済効果があるということを考えると、3000億でも4000億でも、その3兆とか4兆の経済効果を叩き出す投資だっていうことで、費用ばっかり抑える議論にしない方がいいと思う。

風間晋 解説委員:
でも、このタイプで経済効果の検証がなされたことって、一度もありませんから。言ってるだけで。それに、ソリューションをみんなで見つけようよ、提示し合おうよっていうことであれば、別に夢洲に集まらなくても大丈夫だよね。

長谷川ミラ氏:
でも、国会で「350億円は、日除けに必要なんです」って言われてしまうと、やっぱそれに納得いかないのは間違いがないですし、今ここで橋下さんがおっしゃってくださることを国会議員がしてくれればいいものの、全く一度も説明がないまま、じゃあ、何に使われるのかとか、どんな万博になるのかとか、例えばどんな技術が出るのかとか、経済効果もじゃあここまで出るんだ、もっと出してもいいのかもしれないですし、あまりにも国民が置いてきぼり。さらにもメキシコとほぼ同じような状況じゃないですか、日本も。ここまで国が貧困化というか、苦しんでいる中でこんな贅沢な投資というか、出資できるのかなっていうのは疑問には思います。

橋下徹 元大阪府知事・元大阪市長:
いや、お祭りじゃないってことを僕はもっとはっきり言うべきだったんですよね、技術なんだと。それから、貧困って言ってますけども、その貧困を乗り越える課題解決策を、これをしっかり出していくんだということも、はっきり言うべきだったし、それからリングも。例えば、1970年の大阪万博、太陽の塔あります。太陽の塔、当時はもうむちゃくちゃ批判されたんですよ。もう無駄遣い、無駄遣いと言われて、太陽の塔も壊す予定だったのが、今残って、ある意味大阪だけじゃなくて、まあ日本のシンボル的なものになってるわけですね。費用のところはいろいろ批判はあってもいいんだけど、多様性を一つにするというこのモニュメントが、もしかするとこれは残していくべきだと僕は思うんだけども。

谷原章介:
太陽の塔が残ったのは結果論であって、壊す前提で350億円かけて作って、お金かけて、また壊すっていうのは、今の時代にちょっと合ってないですよね。

橋下徹 元大阪府知事・元大阪市長:
やっぱ日よけとか雨除けっていうのは、それは違うと思う。多分、誰が考えてるか、役所が考えたのか、そうじゃなくて、モニュメントの意味は。

リングってについては、それを壊す前提で350億っていうのは国民感情に沿ってないので、僕もはっきり残すとかそういうことで説明していけばよかったのになあ、と思うんですけども。

長谷川ミラ氏:
橋下さんのここにあった元々の思いとそれを受け継いだ国会議員がいない今、この先どういった未来を描いていけばいいのかっていうのはちょっと見えないなって、正直思いますが…。

橋下徹 元大阪府知事・元大阪市長:
やっぱこれ大阪側の方から一生懸命旗を振って、大阪がっていうか僕も旗を振ってやったわけですから、国会の方に責任負わせるんじゃなくて、大阪側がやっぱり、しっかりやるべきかと。大阪側といっても吉村さん、横山さんは橋下の尻拭いになってしまうけれど。

(めざまし8 11月13日放送)