イスラエル軍が、ガザ市の中心部に進軍したと発表した。
そのイスラエル軍にとって重要なターゲットが、ガザ地区で最大の病院、シファ病院だ。イスラエル軍は、シファ病院の地下にハマスの司令部が置かれていると分析している。
イスラエル軍がガザへ“地上侵攻”
イスラエル軍による激しい攻撃は、新たなフェーズに入っている。ついに、ガザ市の中心部に進軍したと発表した。
イスラエル軍は「進軍」という言葉を使っているが、10月27日から越境したまま、ガザ地区にとどまり作戦を続けていることを受けて、FNNでは8日より「地上侵攻」という言葉を使う。
そのイスラエル軍にとって、ガザ北部の「ある病院」が最重要ターゲットになっている。その狙いをひもといた。

イスラエル軍が7日に公開した映像だ。夜間に撮影されたものと見られるが、明らかにこれまでより歩兵の数が増えていて、侵攻が進んでいる印象を受ける。
そして場所は不明だが、市街地の建物の間で作戦を展開している様子も確認され、ガザの中心部にイスラエル軍が迫っている。
すでに、本格的な侵攻が進んでいる状況となっている。

現在の戦況を表した地図では、赤い部分がイスラエル軍が「既に制圧した」とする地域。そして、黄色く示した部分が「進軍中」としている地域だ。
このようにイスラエル軍は、ガザ北部を取り囲み作戦を展開している。
そのイスラエル軍にとって重要なターゲットというのが、ガザ地区で最大の病院「シファ病院」だ。
なぜ、シファ病院が重要かというと、これまで拘束したハマスの戦闘員による情報などから、イスラエル軍は、シファ病院の地下にハマスの司令部が置かれていると分析しているからだ。
ハマスはそれを否定しているが、イスラエル軍が作成したシファ病院のCGを見ると、地下にトンネルが張り巡らされ、中には司令室や応接室のようなものも見られる。

7日に撮影されたシファ病院の様子だ。女性や子供など、人があふれている。病院周辺には5、6万人が避難し、テント生活を送っている。この多くの市民がいる下に、ハマスは司令部を置いているという。
イスラエル軍の情報が正しければ、ハマス側は、まさに市民を人間の盾として利用している状況だ。
病院周辺には子供や病人など、移動したくてもできない人々もいるはずだ。命を救う場所で、命が奪われるという状況になっている。
避難先でも空爆の被害
また、そうした戦火に巻き込まれないようにと、避難する動きも進んでいる。

イスラエル軍が公開した、北部から南部へ移動するガザ地区住民の映像だ。住民たちは白旗を揚げ、両手をあげているようにも見える。
手前に見える戦車はイスラエル軍のもので、これはハマスによる移動妨害を防ぐためとしている。
このような映像をイスラエル側が公開した背景には、空爆などへの国際的な非難に対し、民間人の被害を抑える対策を取っていると、アピールする狙いもあると見られる。
ただ市民にとっては、いつどこでハマスとの戦闘に巻き込まれるか分からない。

そんな中、自宅を追われ、常に恐怖と隣り合わせという本当に悲劇的な移動だ。
避難する住民は「言われたように南部の方に避難しているけど、どこに行くかわからない。学校に行くか、路上で寝るか…」と話す。また別の住民は「私たちはガザに残る。国を離れるわけがない」と話した。
ガザ当局によると、90万人がまだ北部にとどまっており、今後も多くの市民の犠牲が出る恐れがある。

そして、仮に南部に脱出しても、そこも安息の地ではない。キャンプでの状況はひっ迫し、過酷を極めている。その上、ガザ南部でもハマスの拠点がある地域では、イスラエルによる攻撃が行われている。
南部にあるハンユニスでの空爆で、がれきから救出される女の子の映像が公開された。倒壊した建物に下半身が埋まってしまった女の子を救い出そうと、多くの市民たちが手を尽くしている。南部に避難しても、ガザの人々に平穏が訪れるとは言えないという状況だ。
(「イット!」 11月8日放送より)