2024年4月から運輸業界で労働時間規制が強化される「2024年問題」。企業側はこれまで以上に運転手を確保する必要がある。慢性的な人手不足が指摘されているバス業界の運転手確保の取り組みを取材した。

運輸業界を直撃…2024年問題

2024年4月から運輸業界で勤務と勤務の間の休息時間の確保や総労働時間の上限規制が強化される「2024年問題」。このため、企業側はこれまで以上に運転手を確保する必要がある。

その一方で、バス業界全体ではコロナ禍前の2018年に比べおととしの段階ですでに約1万人も減っていて慢性的な運転手不足が指摘されている。

ことし9月、大阪の4つの市町村でバスを走らせていた会社が路線バス事業を年内で廃止すると発表。その理由のひとつにあげられていたのが「運転手不足」。

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運転手の半数は50歳以上…

運輸業界を直撃している2024年問題。
大分県内のバス会社では運転手不足に加え、さらにこうした課題も。

大分バスでは約240人の運転手のうち半数を50歳以上が占めている。
今後、こうした世代が定年を迎え始める中、若い世代の就職希望者が思うように集まらない現状に不安を抱えている。

大分バス人事部の五嶋栄治郎さんは「人手不足・乗務員不足になると今いる乗務員が休日出勤などを行う必要が出てくる。そうなると一般路線の減便を検討しなければならなくなる状況」と話す。

そこで人材の確保に向けて、ことし6月採用を担当する専門の部署を新設。今年度末には10人ほどが定年退職する予定で、会社説明会を月に複数回開いて10人から20人の新規採用を目指している。

女性運転手も積極的に採用 

現在の女性運転手は5人。入社4年目の高橋里奈さんは、2人の子どもが高校に進学したのを機に憧れだったバスの運転手に転職した。

高橋さん「お客さんがいつも“頑張ってね”と声かけてくれるのがとてもうれしくて、夢だったので毎日楽しく仕事をしている」と話す。

会社側も女性専用の休憩室を設置したり、子どもの休みにあわせて休日を配慮するなど子育て中でも働きやすい環境づくりに取り組んでいる。

高橋さんは「チャレンジできなくて不安に思ってる人がチャレンジするきっかけになれれば」と、自身も会社説明会で自分の経験ややりがいについて話すこともあるそうだ。

バス協会も対策 体験乗車会も 

2024年問題についてはバス協会としても対策に乗り出している。

大分市内の自動車学校で開かれた大型バスの体験乗車会には、20代から60代まで14人が参加して実際に大型バスの運転を体験した。

参加者は「楽しいなというのが率直な感想。指導員さんが乗ってくれて体験できるのは非常にいい機会と思う」「運転は自分なりにはできそうだなと感じた。いろいろこれから話を聞いてみたい」などと話していた。  

運輸業界にとって避けては通れない2024年問題。
公共交通機関として地域交通を支えていきたい、その思いを胸に様々な対応がとられている。

(テレビ大分)