この先、週末にかけての気温は、11月なのに大阪では連日「夏日」となる予想となっている。異例の暑さの影響で、秋や冬の風物詩にも、大きな影響が出そうだ。

「もうちょっと涼しいと思っていた」

11月1日午後、京都・東山区に行ってみた。まもなく紅葉シーズンを迎えるが、かなり日差しが強い。記者はタートルネックを着てきたが、この日はちょっと暑かった。この異例の暑さに観光客は…

はかま姿で観光中の観光客:
暑い、暑い、はかま暑い。もうちょっと涼しいと思ってました。11月の気温じゃないですよね

愛知からの観光客:
朝めちゃめちゃ寒かったんですよ。今めちゃめちゃ暑いじゃないですか。気温差がすごいなって。紅葉もね、遅れちゃうのかなって感じで

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カナダからの観光客は、「アイラブアイスクリーム」と冷たいものを求めていた。

近畿地方では11月1日、京都で日中の最高気温が23.6度、大阪で22.8度を観測するなど、街の人も暑そうだった。「そんなに暑くなると思ってなかったので、あったかい服を選んじゃった」と後悔する声も聞こえた。

昼は暑いけど、昼と夜の寒暖差で鍋が人気

11月1日は10月中旬並みの気温だったが、今週の3連休はさらに暑くなる見込みで、近畿各地で25度以上の「夏日」になる予想が出ている。

長引く暑さで、鍋をするにはまだ早いかと思いきや、スーパーの食品売り場に聞いてみると、昼と夜の寒暖差の影響で鍋スープの売り上げは、2022年の同じ時期と比べ115%になっているそうだ。

その鍋に欠かせないのが野菜だ。11月1日の時点では、ほうれん草が158円、大根が198円だが、暑さの影響で冬にとれる野菜の生育が早まり、今後、値段が下がりそうだというのだ。

フレッシュマーケットアオイ 内田寿仁社長:
これからどんどんどんと収穫量が増えると思いますので、値段も例年並み、もしくは例年よりも下がってくるようなことも一部あるかなと。冬に収穫される野菜が全般的にそうなる可能性があると思っている

この3連休に流れ込む暖気は9月下旬並み

果たして11月の暑さはいつまで続くのか?気象予報士の片平敦さんに聞いた。

11月2日から週末にかけての各地の最高気温の予測だが、11月に夏日が連続で観測されるとなると、大阪は34年ぶり、京都は83年ぶりだ。

気象予報士 片平敦さん:
1日ぐらいというのは結構あるんですよ。11月も暑い日、寒い日があるので。だけど2日以上続くというのはあまり例がなくて、京都は11月2日から4日も続く予報となっています。3連休中の昼間は暑いですよ。さらに奈良や大津、徳島では、夏日が11月に2日続いたことはないんです。1日だけはあっても、こういうことは今までなかったというくらいの異例の暑さの11月となりそうです

なぜ11月にもなって、夏日が続きそうなのだろうか。

気象予報士 片平敦さん:
簡単に言うと、暖かい空気が大陸の方からやってきます。いま中国の方に暖かい空気があるんです。1日も昼間は暖かいと言っていましたが、西の方(中国上空)はさらに気温の高い状態になっていて、これが3連休にどっと日本に流れ込んできます。3連休の後半にも暖かい空気の流れ込みがあります。この暖かい空気は、本来であれば9月の終わりにやって来るような暖かい空気です。1カ月から1カ月半くらい前の暖かい空気が11月にやって来るということです

一日の寒暖差が大きいので、脱ぎ着できる服装で対応していかなければならない。さらにこの後に控えている寒気も気になるところだが…

気象予報士 片平敦さん:
実は3連休の後は寒気がやってきます。ただ、この寒気は本来この時期にやって来るような冷たい空気です。9月並みの暖かさを経験して、11月の普通の寒さとなるので、短期間で2カ月分の寒暖差をどーんと体感することになりますので体に堪えます。その後11月の後半にかけて、いつもよりも気温は高めという予想になってますので、アップダウンがかなりきつくなりそうです

今年の紅葉は山間部ではいつも通り、平野部では彩りが“いまいち”

なかなか寒くならないということで、2023年の紅葉がどうなるか心配されている方も多いと思う。各地の紅葉の見頃予想を見ていく。

気象予報士 片平敦さん:
10月に結構冷えたので山間部は紅葉のスイッチが入りました。和歌山県の高野山はもう見頃です。山間部は平年並みか、ちょっと遅くなるタイミングで見頃になってきています。ウェザーニュースによると、この後だんだんと麓にも紅葉が広がっていく見通しで、大阪城公園では19日から見頃、奈良公園は13日ごろからということです。滋賀県高島市のメタセコイヤ並木では11月末ぐらいから見頃となりそうです。ただ、いま紅葉のスイッチが入っているところは大丈夫ですが、麓のこれからスイッチが入るところというのは、気温の高い日が続くので、色づきが平野部では予測より遅くなる可能性もあります。12月に入ってようやく見頃という場所も出てくる可能性もあります

紅葉のシーズンが遅れるということだが、色づき自体に影響はありそうだろうか。

気象予報士 片平敦さん:
紅葉は急に寒くなった方が彩りはきれいです。だけどこのまま暖かい状況が続くと、あまり美しくないかも…。街中の紅葉はちょっと今年はいまいちかなと心配です

関西各地では、秋の紅葉を売りにしている観光地も多いので影響がありそうだが、京都の観光協会に聞いてみたところ、2023年の気温の影響はないとみているそうだ。

ただ、観光の立場からみると『また見れるかも』と観光シーズンがずるずると伸びることで、オーバーツーリズムの状態がずっと続くことになるので、京都の市街地の方には影響が出るかもしれない。

温暖化が進むことで、今までの当たり前の風景が当たり前じゃなくなる可能性があり、心配なところだ。

(関西テレビ「newsランナー」2023年11月1日放送)

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