福島県浪江町に建設される化学プラント。世界初の実証事業を行う施設で、ここで製造されるのは、とても臭いけど日本のエネルギーの未来を背負う物質だという。

水素を使ってアンモニア

10月31日に福島県浪江町で行われた化学プラントの起工式。ここでは、2025年3月から一日に4トンのアンモニアを製造する予定。

起工式 多くの人が期待を寄せる 
起工式 多くの人が期待を寄せる 
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日揮ホールディングスの佐藤雅之会長は「グリーンな水素を使ってグリーンアンモニアを作る。国内外に広がっていけばいいと思うし、浪江町がゼロカーボンシティーとして発展し続けることを願っている」と話した。

日揮ホールディングス・佐藤雅之会長
日揮ホールディングス・佐藤雅之会長

石炭に変わる次世代燃料

この施設では、太陽光発電で生み出した水素を使って二酸化炭素を出さずにアンモニアを製造する。水素に比べて大量に運ぶことができるアンモニアは、燃やしても二酸化炭素を出さないことから、火力発電所などで石炭に変わる次世代の燃料としても期待されている。

完成予想 映像提供:日揮ホールディングス
完成予想 映像提供:日揮ホールディングス

浪江町の吉田栄光町長は「当町はゼロカーボンシティーを目指して進んでいるので、復興に関心を持っていただく。そして再生可能エネルギーの活用に関心を続けて持って頂きたい」と話す。建物は2014年に完成し、2025年からアンモニアの製造を始める予定。

浪江町の吉田栄光町長 ゼロカーボンシティーを目指す
浪江町の吉田栄光町長 ゼロカーボンシティーを目指す

クリーンなグリーンアンモニア

まず「グリーンアンモニア」はどんなものかと言うと、一般的なアンモニアは化石燃料から取り出した水素を原料にして作られていて、製造する過程で大量の二酸化炭素が排出されている。浪江町に作られる新たな施設では、太陽光発電で生みだした水素を原料にするため、二酸化炭素の排出を減らすことができる。

製造時も燃焼時も二酸化炭素を出さない
製造時も燃焼時も二酸化炭素を出さない

安全に大量の運搬・貯蔵が可能

作る時も燃やす時も二酸化炭素を出さないということで、次世代の持続可能な資源として、石炭など化石燃料の代わりとしての役割も期待されている。アンモニアは以前から多くの産業で広く活用されてきたことから、運搬や貯蔵の技術が確立されていて、これも今後の普及に向けてポイントとなる。

アンモニアは化石燃料の代わりとして期待
アンモニアは化石燃料の代わりとして期待

ゼロカーボンと雇用の創出

福島県は2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを目指している。実現に向けては、太陽光など再生可能エネルギーの導入を推し進めていて、2020年の温室効果ガス排出量は2013年と比べて21.3%削減した。

水素を活用した先進的な取り組みに福島県も期待を寄せる
水素を活用した先進的な取り組みに福島県も期待を寄せる

福島県は今回の実証施設について「福島の水素を活用する国内でも先進的な取り組みは非常に期待感も大きい。地元の雇用創出という面でも発展してほしい」と期待を寄せている。

(福島テレビ)

福島テレビ
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