政府与党からにわかに浮上した“1人あたり4万円”の減税案は、大家族にはどう影響するのだろうか。10人家族による使い方をめぐる“会議”では、ドーナツからお小遣い、宝くじ、自転車、飛行機代、生活費といった様々な意見があがった。

“10人家族”の伊藤家を取材

東京都で暮らす伊藤家。

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父親の伊藤竜太さんと母親の愛さん、8人の子どもたちの計10人の大家族だ。

政府与党からにわかに浮上した“1人当たり4万円”の減税案を、大家族はどう捉えているのか。25日夜、伊藤家の“家族会議”の様子を取材させてもらった。

父・竜太さん(43):
国に対して税金っていうの払っているんだけど、もしかしたら(一部が)戻ってくるかもしれないっていう話になっているらしくて。ある程度まとまったお金が入ったときに何に使いたいですか?君たち。

次男・玖竜くん(11):
(手を挙げて)おこづかい!
父・竜太さん:
お小遣い?
三女・鞠花ちゃん(3):
(手を挙げて)おこづかい~!

政府内で現在検討されているのは、納税者と扶養家族を対象に、所得税など(所得税+住民税)1人当たり合わせて4万円分の定額減税を1年限定で行うというもの。

これを伊藤家に当てはめれば、父親に母親、そして8人の子どもたちも4万円で、一家10人で合計40万円分の恩恵が受けられることになる。

減税分のお金で何が買いたいか聞いてみると、保育園児の2人は無邪気な回答。

三女・鞠花ちゃん(3):
ジュース!
四男・匡汰くん(4):
ドーナツとチョコケーキ!

一方、お金そのものに価値を見いだしているのが小学生の2人だ。

次男・玖竜くん(11):
1万円。
母・愛さん(38):
どこで何に使う?
次男・玖竜くん(11):
え、ためる…。
父・竜太さん:
ためたいの?

次女・希咣(7):
宝くじ買って、そのお金をバーって。
次男・玖竜くん(11):
当たらないよ!

そして“年長組”は、極めて現実的なものを挙げた。

長男・昊馬(15):
いやー自転車がほしい。スポーツタイプのめっちゃギアがついてるやつ。
長女・楓南(13):
バッグかな。
父・竜太さん:
肩に背負うやつ?
長女・楓南(13):
いろんな種類…。
父・竜太さん:
え?1個じゃないの?
長女・楓南(13):
1個じゃないよ!

せっかくの機会だからと家族旅行に一票入れるのは、一家の大黒柱である父・竜太さんだ。

父・竜太さん:
飛行機に乗ろうか。飛行機代がオーバーしちゃっても、それを補填するっていうふうに捉えれば…。

しかし、家計を預かる母・愛さんは夢のある答えを出すことができない…。

母・愛さん:
生活費ですね。生活費に一番使いたいです。

スーパーで買い物した際に受け取ったレシートに記載されている合計金額は4035円。この金額は、伊藤家の1食分の買い物だという。

母・愛さん:
(冷凍庫からロールキャベツの冷凍パックを取り出して)この10個入りで1回分なので…。小さい子がいる家庭は、特に継続して引いて(減税して)もらわないと困るかなと。

こうした声が上がる中で、26日午後5時過ぎに開かれた政府与党の会合。岸田首相は税収の増加分を国民に還元する具体策の検討を指示した。

岸田首相:
賃上げが物価に追いつくまで、政府として支えることが肝要です。定額減税をお願いしたいと考えております。

しかし、この“国民への還元策”は決して一筋縄ではいかない。

1人当たり4万円の減税については、自民党の中から「年収2000万円以上」を対象外とする案が上がっていて、所得制限なしを検討する政府との足並みの乱れも予想される。

そして、こうした“還元策の恩恵”が各家庭に届くのは早くても2024年の夏頃とみられ、国民がその恩恵を実感するのはまだまだ先の話になりそうだ。
(「イット!」 10月26日放送より)