「古市憲寿のエンタメ社会学」今回のゲストは俳優・竹野内豊さん。
10月27日から公開の映画「唄う六人の女」で人里離れた山奥で謎の女たちに監禁される男を演じています。

古市憲寿(以下、古市):
こういうインタビューを引き受けてくださるイメージがなくて、スタッフが「竹野内さん、なんでこの仕事OKしてくれたんだろう?」って。
竹野内豊(以下、竹野内):
まあ得意じゃないですね。
古市:
“竹野内さんってどんな人?”っていうと、実はあまりわからなくて…隠してます?私生活って?竹野内:
いや、そんなことないですよ。隠してるわけじゃないです。
古市:
今回、間違って引き受けたんですか?このお仕事。
竹野内:
いや、そんなことはないですよ。
古市:
大丈夫ですか?
竹野内:
大丈夫です。

左:古市憲寿 右:竹野内豊
左:古市憲寿 右:竹野内豊
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俳優・竹野内豊さん、52歳。
貴重なデビュー秘話、そして、あの名作ドラマの役作りに至るまで…自分のことを話すのは苦手という竹野内さんに、古市、遠慮なく切り込みました。

自然の中で映画撮影「都会よりも自然の方が肌には合っているかな」

古市:
「唄う六人の女」がもうすぐ公開ですけど、すごいエラそうな言い方なんですけど、竹野内さん、すごくいい役者さんだなと思って。
竹野内:
あっ、ありがとうございます。
古市:
自分がカッコよく撮られようとか見られようとかって全然思ってないっていうか、その役をちゃんと生ききってるっていうか、素敵だなと思いました。
竹野内:
いやいや、そう言っていただけると…やってよかったなって思います。

27日から公開される映画「唄う六人の女」は、自然の中で撮影されたそうです。

古市:
山の中のシーンとか、虫とのシーンとか、あれ嫌じゃないんですか?
竹野内:
一般的には立ち入ることができない、厳重に管理されている自然保護区なので、ヒルとかもすごい多かったんです。
古市:
ヒルもいるんですか。
竹野内:
子供の頃から自然の中で遊ぶ時間がすごく多かったんですよね。実は、都会よりも、全然自然の方が肌には合ってるかなと。
古市:
そのイメージあんまりないですね。昔で言う「シティボーイ」っていうかね、都会的なイメージがあったから。
竹野内:
そうですね。

古市:
芸能界で仲のいい役者さんとかっていらっしゃるんですか?
竹野内:
そんなしょっちゅうはお会いしたりとかしないですけど、西島秀俊さん。
「シン・ウルトラマン」の樋口監督から連絡がかかってきて、「ちょっと西島さんが竹野内さんに会いたがってるから、今から来ないか?」っていうお誘いを受けてそれがきっかけで、ご自宅に招待してくださったりとか。

貴重なプライベートを教えてくれた竹野内さんに、古市、デビューの話も聞いちゃいます!

「最初の頃はなめてた…」デビュー秘話

古市:
高校生の時にお母さんとお姉さんが雑誌のモデルに応募したことが芸能界入りのきっかけ?
竹野内:
そうですね。ある日父に、「おーい、ちょっと新聞取ってきてくれ」って言われて、ポストに行ったら、自分宛のはがきがあったんですよね。母に見せたら、まあ姉と2人で大喜びしてたっていう。
古市:
急にはがきが届いた?
竹野内:
オーディションに合格したっていう、一次選考かなんか。
古市:
オーディション行ったんですね。
竹野内:
そこに何十人も日本全国から集まっているカッコイイお兄さんたちがいるわけですよ。その人たちを見たときに、なんかがく然としちゃって…初めての敗北感を味わった、そういう思い出は残ってますね。
古市:
それでオーディションは?
竹野内:
そう、通ったんですよね。

古市:
その後、竹野内さんはどんどん演技の世界を進んでいくわけですね。
竹野内:
でも、ちょっとね、最初の頃、なめてたんですよ。
古市:
なるほど。
竹野内:
雑誌の表紙とか、コマーシャルとかやってきたっていう、根拠のない変な自信があったんですけど、 初めての(ドラマの)撮影の時にもうコテンパンに打ち砕かれて。OKが出なかったりとか。周りにはものすごい大ベテランの役者さんがいて、待たせることになるんですよね。心臓がもう口から出そうぐらい緊張して、「お前ちゃんとやれ」っていう話になって、もう、全然できないんですよね。
つらいなって、逃げ出したいなって思った時もあったんですけど。でも、あの時があって逆によかったかなと思ってます。

「ロンバケ」で生まれた竹野内さんのトレードマーク

そんなドラマデビューから2年後の1996年。出演したのが、あの社会現象を巻き起こしたドラマ「ロングバケーション」。

古市:
ロングバケーションの頃、どうでした?大ヒットした作品で、人生変わったなって感じはありました?
竹野内:
山口智子さん、木村拓哉さん、もう大スターだったんで、いろいろ学ぶものは多かったですね。
ひげを生やしたのは、あの時が初めてだったかな。
真二っていう名前だったんですけど。セリフで「アニマル真二」っていうワードがあって、その時、インスピレーションが湧いて「ひげでいきたい」って、生意気にお願いしたんですよ。
古市:
へぇー。竹野内さん発信だったんですね。
竹野内:
普段自分がしてない…そういう単純なものから、こう役の世界に飛び込むことはできたかなとは思っているんですけど。それ以降は結構、普段もずっとひげを生やしてることが多いかもしれないです。

月9ドラマの名作「ロンバケ」から25年…2021年の月9、「イチケイのカラス」では、主演として、座長を務めた竹野内さん。

竹野内:
主演として現場に立たせていただいている時は、しっかりしなきゃとは思ってはいるんですけど…、気の利いた一言で、現場を和ませたりとか、あまりそういうことは自分ができるタイプじゃないんで。
古市:
本当は気の利いた一言とか言いたいんですか?
竹野内:
先輩の役者さんが一言、何か言ったことで空気が緩むとか、やっぱりそういうのを見ると、かっこいいなって。
古市:
そんな憧れがあるんですね。

現在52歳、名優・竹野内さんにもまだまだ、追い求める役者像があるといいます。

古市:
どういう役がやりやすいとか、なんか、あるんですか?
竹野内:
極端な話、完全に作り込まれた時代劇ですとか、作り上げられた世界観の方が、入り込みやすいといいますか。
よく監督が「何の役作りもしなくていいですと、竹野内さんそのままでやられてください」って言われるのが一番困るんですよね。
古市:
本当はいろんな顔があるわけですもんね。当然竹野内さんの中にもね。
竹野内:
うん。
古市:
最近でいうと「イチケイのカラス」とか、あと「GO」のCMとか、ちょっとコミカルな竹野内さんは、なんか新鮮な驚きはあります。
竹野内:
今後俳優人生を送っていく中で、常にどこかでそういういい意味での裏切りといいますか、そういったものは模索していくのかなぁなんて思いますけど。

(めざまし8「古市憲寿のエンタメ社会学」10月26日放送)