“ラピュタの島”とも呼ばれる、和歌山市・友ヶ島。
毎年約8万人が訪れる人気観光スポットを抱えるこの島で、いま、大量のゴミが問題になっている。
大都市からのゴミが“大量漂着”する海岸
ジブリアニメ『天空の城ラピュタ』のような風景が広がることから愛称がついた友ヶ島。

現地で環境調査などを行っている益田さんの案内のもと、「イット!」の取材班が向かったのは、島の北側にある海岸だ。

海岸から数十メートル離れた場所にも、ゴミが点々と落ちているのが確認できる。
さらに海岸には、タイヤなど漂着したとみられるものも広がっていた。

一般社団法人 加太・友ヶ島環境戦略研究会 益田次朗さん:
漁業関係のものとか、浮きであるとか、そういったのも漂着しますね。

調査によると、海岸に広がるゴミの8割がプラスチック製。
ゴミの中には、日本の製品とみられるペットボトルや、空になったスプレー、建築関係の看板なども見られた。

漂着してきたとみられるこれらのゴミは、いったいどこから流れてきたのだろうか。

一般社団法人 加太・友ヶ島環境戦略研究会 益田次朗さん:
淡路島であるとか、神戸・大阪という大都市が控えているので、そこから河川を通じて流出したと考えられるゴミが漂着して、着岸するというようなメカニズムになっています。

大阪湾の出口のような場所に位置するこの海岸には、大都市から流出したゴミが流れに乗って漂着しやすくなっているという。
別の海岸では…海外からのゴミも多数
しかし問題は、大阪湾からのゴミだけではなかった。島の南側に向かうと…

一般社団法人 加太・友ヶ島環境戦略研究会 益田次朗さん:
ここが南垂水海岸というところですね。こっちはもう完全に外海、太平洋側になりますので…
島の南側に広がるゴミには、北側とは違ったある特徴が。
日本語ではない文字で書かれたペットボトルのゴミには、「中国」「深セン市」などの表記があった。

一般社団法人 加太・友ヶ島環境戦略研究会 益田次朗さん:
(このゴミは)マレーシアです。バーコードで国番号がわかるんですよ。
中国・韓国もそうですけど、東南アジアから来るものも多いですし、どういった経緯かわからないけれども、過去にはロシアのものであるとか、そういったものも漂着していたことがありますね。

漂着しているゴミの多くは海外からのもので、今回の取材の中では南アフリカのものとみられるゴミもあった。

一般社団法人 加太・友ヶ島環境戦略研究会 益田次朗さん:
島でも外洋に面したところなんですよね。(南側は)太平洋なので、黒潮の流れに乗って、こういった海外から、東南アジア、中国のものなどが多いんです。
ゴミを減らすには「10年後ぐらいが目標」
北側は日本からのゴミ、南側は海外からのゴミが広がる、“ラピュタの島”。
環境破壊が問題視される中、益田さんの団体は、2020年9月からの2年間で1トン以上のゴミを回収しているという。
一般社団法人 加太・友ヶ島環境戦略研究会 益田次朗さん:
あちらの砲台跡の方の海沿いも見たんですけど、なかなかすごいですね、ゴミの量が。

観光客A(20代):
(ゴミが流れ着いていることは)知らないです。
観光客B(20代):
きれいな島なのに、もったいないなって思います。
海岸のゴミ問題に、「大阪湾プラごみゼロ」プロジェクトのリーダーである、大阪大学の宇山教授は「社会全体の協力が不可欠」だと言う。

大阪大学工学研究科・宇山浩教授:
出てしまったもの(ゴミ)を回収するというボランティアを支える仕組み作りも非常に大事と思ってます。
目に見えて(ゴミが)減るっていうのは、10年後ぐらいが目標かなと思います。
(「イット!」10月27日放送分より)