天皇皇后両陛下は、10月15日から2日間の日程で石川県を訪問されました。両陛下揃ってのご訪問は25年ぶりです。
到着後、国民文化祭と全国障害者芸術・文化祭の開会式に臨まれました。

伝統芸能や音楽、美術などを全国規模で発表する文化の祭典「国民文化祭」。
陛下は昭和61年の第1回大会から、長年に渡って出席を重ねてこられました。

天皇陛下 おことば:
今大会では、石川県が有する多彩で多様な文化の魅力が発信されるとともに、県内各地域でそれぞれの特色を活(い)かしながら、障害のある方もない方も、世代や地域を超えて交流し、共に楽しみ、感動を分かち合えるような催しが実施されると聞いています。
このような取り組みが、地域に息づく伝統や文化の良さを再認識する機会となり、文化芸術活動の裾野を広げ、新たな文化の創造につながっていくことを期待しています。

オープニングステージでは、輪島市で伝承される「御陣乗太鼓(ごじんじょだいこ)」など、様々な伝統芸能を通して石川の歴史や文化が物語仕立てで表現されました。

フィナーレには、総合演出を務めた狂言師の野村萬斎さんが登場し、バレエの楽曲「ボレロ」に合わせて舞を披露。

両陛下は「文化絢爛」をテーマにした華やかなステージに、大きな拍手を送られました。
ステージ出演者とご交流
式典後、出演者と交流された両陛下。
茶道家の奈良宗久さんとお茶を点てることの魅力について話し、皇后さまは「私、少しだけ茶道をやっていて」と明かし、「茶道を習うことで、お茶の精神を学びました」と伝えられました。

右手が不自由で左手のみでピアノを演奏した黒崎菜保子さんに陛下は、左手のための曲名(ピアノ曲)を次々と挙げ、「たくさんの曲がありますよね」と述べられると、皇后さまが「陛下もピアノをなさるんですよ」と紹介される場面もありました。

御陣乗太鼓を披露した大宮正晴さんには「どういうきっかけで始めようと思ったのですか?」「体力を使いますよね」などと声を掛けられた両陛下。

出演者たちと和やかに交流し、「良いステージでしたね」と感想を伝えられました。
芸術作品に携わる人たちともご交流
翌16日、全国障害者芸術・文化祭の行事のひとつ「全国障害者作品展」に足を運ばれた両陛下。
作者から説明を受けながら、陶芸と絵画の作品をご覧になりました。

たくさんのカラフルな動物の絵を描いた松元伸乃介さんに「みんな笑っていますね」「なんだかうれしい気持ちになりますね」と話しかけられました。

また、小さな和傘に絵を描くワークショップでは、特別支援学校の生徒たちが絵の具などを使って絵付けをしている様子をご覧になりました。
両陛下は生徒たち一人一人の作品を見て回り「展示されるのが楽しみですね」と声を掛けられていました。

この日の午後には、地元の高校生たちが国民文化祭で披露する朗読劇の稽古を見学されました。

終了後、両陛下は「とても上手に感情を表現されて伝わってきました」などと話されていました。

金沢錦丘高校・細木壬琴さん:
表現がしっかり伝わってきたという感想をいただいて、すごく親身に聞いていただけたんだなと、とても嬉しかったです。

石川県立工業高校・相馬伊吹さん:
本当に今まで頑張ってよかったと思って。まだ終わりじゃないので、これからの励みにその言葉を持っていきたいなと思いました。

両陛下は、2日間にわたり石川の様々な文化や芸術に触れ、携わった人々と親しく交流されました。
(「皇室ご一家」10月22日放送)