土鍋などで知られる「萬古焼(ばんこやき)」は、三重県四日市市などで製造され、伝統工芸品だが、萬古焼をつくる材料の「ペタライト」が今、入手困難となり、危機を迎えている。

資源獲得戦争の余波が土鍋にも波及…

三重県四日市市の銀峯陶器(ぎんぽうとうき)は、鍋料理にかかせない土鍋を年間約20万個生産しているメーカーだ。

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市の地場産品で伝統的工芸品でもある「萬古焼」の土鍋は、熱に強くて割れにくいことから国内外で人気を集めている。

その萬古焼の強さの秘密は、材料にある。

銀峯製陶の熊本誠太専務:
ペタライトという原材料で、陶器に入れると耐熱性が飛躍的に向上する。土鍋を作る上では不可欠な素材かなと思います

萬古焼は、ペタライトと呼ばれる鉱物を土に混ぜることで、耐熱性を高めている。

1950年代から全国に先駆けて使ってきた材料だが、今、入手できなくなるかもしれないピンチを迎えている。その理由が「電気自動車」だ。

熊本誠太専務:
ペタライトにもリチウムが含まれているので、バッテリーを作る上でターゲットになった。以前はそんなに人気のある原材料ではなかったんですけど、昨今のEVで需要が大きく伸びたので、市場価格も4~5倍くらいまで上昇した

電気自動車の普及で、リチウムイオン電池の原材料が不足したことに伴い、ペタライトの需要も増加している。萬古焼の窯元らは、アフリカ大陸にあるジンバブエからペタライトを輸入していたが、中国系企業が鉱山を買収したことで、2022年2月に、日本向けの輸出がストップされた。

今は在庫などを使っているというが、危機を迎えている。

熊本誠太専務:
つらいですけどね。でも起こってしまったことはしょうがないので、できる中で色んな可能性を探っていくというのは今後も必要ですよね

萬古焼の窯元らでつくる組合は18日、三重県庁を訪ね、支援などを求めた。

一見三重県知事:
国に動いてもらう必要があるかなと。国に要望を持っていきたいと思っております

在庫があるためこの冬の出荷分には影響はなく、2024年にはジンバブエから輸出が再開される見込みだということだが、不安は拭えない。

萬古陶磁器工業協同組合の熊本哲弥理事長:
原料のうちのかなりの割合をペタライトが占めていますので、それが生命線みたいな。なるべく早くジンバブエの正規ルートのものが安定的に入ってくるようになればいいと思います

(東海テレビ)

東海テレビ
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