味の素冷凍食品がSNSで「冷凍餃子が張り付くフライパン」を募集し、話題になったことを覚えているだろうか?
これが新たな展開を迎え、「冷凍餃子フライパンチャレンジ」というプロジェクトサイトとして公開された。
発端は今年5月のSNSの投稿
発端は今年5月まで遡る。「冷凍餃子がフライパンに張り付いてしまう」というSNSへの投稿に、味の素冷凍食品が「フライパンを提供いただき、研究・開発に活用したい」と返答。
翌6月には、同社で実施した使い込まれたフライパンを用いた調理・検証についての結果を報告し、引き続き、最適な調理条件を研究すべく、SNSで冷凍餃子が張り付いてしまうフライパンの提供を呼びかけた。
すると募集から3日間で、全国47都道府県から総計3520個ものフライパンが届いたというのだ。
【参考記事:「冷凍餃子が張り付くフライパン募集」味の素冷凍食品の“研究のお願い”に2000個も届く!綺麗に焼くポイントを聞いた】

そして10月13日、「餃子が張り付くフライパン」を3Dデータ化していく「冷凍餃子フライパンチャレンジ」プロジェクトサイトを公開したのだ。
サイトでは、届いたフライパン3520個の3Dモデルをデジタルアーカイブとして順次公開していく。フライパンを360度から確認することができ、表面などを拡大して見ることもできる。

このほかアーカイブには、フライパンの大きさ、厚み、重量、送付先といった情報も “フライパンの履歴書“として記載するほか、プロジェクトに連動したWebサイトでは、フライパン検証の進捗を報告する記事を更新する予定だ。

とても興味深いサイトだが、どのような狙いがあって立ち上げたのか? また、ひときわ目をひく「フライパンの3Dモデルのデジタルアーカイブ」は、どのようなところに注目して楽しめばいいのか?
味の素冷凍食品の担当者に“狙いと楽しみ方”を聞いた。
現時点で600個弱のデータを集積
――このWebサイトを立ち上げた狙いは?
これまでの、SNS上での発信にご協力頂いた生活者の皆さまに、会社として改めてお礼を申し上げたいと考えておりました。
想定以上のたくさんのフライパンをお送りいただいたので、お礼だけではなく、SNSから始まった一連のプロセスをきちんとお伝えするとともに、可能な範囲で事実を見せようと考え、立ち上げがこのタイミングとなりました。
これから研究開発へのチャレンジをしっかりと共有していきたいと考えております。
――このサイトでは3520個すべてのフライパンの3Dデータが公開されている?
現時点では600個弱のデータまでしか集積できておりません。

――3520個のフライパンのうち、何個のフライパンの分析が終わっている?
分析方法はいろいろな角度で進めており、検証は現在進行中です。たとえば、焼成試験では約500近いフライパンで分析を実施しています。3Dスキャンも560程度、公開されています。
――6月に検証結果を公表してから、何か新たな発見はあった?
仮説検証の裏付けを行っておりますが、なかなか難しいと感じております。送っていただいたフライパンも、弊社の調理方法であれば、きれいに焼けることもあり、また洗浄することで、きれいに焼けるケースもあったりと、まだ、相関性などが見出せていません。
「興味本位で見て、楽しんでいただきたい」
――「デジタルアーカイブ」はどのようなところに注目して楽しめばいい?
まずは、興味本位で見て、楽しんでいただきたいと思います。たくさんのフライパンが送られてきて、それらを眺めていますと、さまざまな台所で私たちの「ギョーザ」が焼かれているんだなぁと、感慨深い思いになります。
サイト上では楽しんでいただくための工夫もありますので、ぜひ覗いてみてください。
――では、どのように活用してほしい?
フライパンのアーカイブを積極的に情報開示していくことで、新たな発見やイノベーションにつながる可能性を秘めていると感じています。
――今後、新たにフライパンを募集する予定は?
お預かりしている全てのフライパンを検証できておりませんので、現時点での予定はございません。今後さらに、検証するフライパンの母数を広げる必要があれば、検討するかもしれません。

手間と時間をかけて作られている「冷凍餃子が張り付くフライパン」を3Dデータ化するサイト。その苦労を念頭に、まずは興味本位で見て、楽しんでみるのも良さそうだ。