山陰と岡山を結ぶJR西日本の特急「やくも」は、2024年春から順次、新型車両が導入される計画だ。
その最初の車両が完成し、10月17日、大阪の工場で報道関係者に公開された。約40年ぶりのリニューアルとなる新型車両は、どのような乗り心地になるのだろうか。

山陰の風景や風物をイメージしたカラー

特急「やくも」の新型車両。ボディーカラーのコンセプトは「やくもブロンズ」だ。

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光を浴び、ブロンズ色に輝く車体。正面には白い雲と「やくも」の文字。大阪の車両メーカーの工場で報道関係者に公開された特急「やくも」の新型車両「273系」だ。

「やくもブロンズ」と名付けられた車体の色は、宍道湖の夕日の鬱金(うこん)色、たたら製鉄にちなんだ黄金(こがね)色、車窓から見える赤い瓦屋根の赤銅(しゃくどう)色など、山陰の風景や風物をイメージした。

列車が走る伯備線、山陰線沿線の風景に溶け込み、自然の中で映える色にしたという。

現在の381系
現在の381系

現在の381系電車は、伯備線などが電化された1982年から使われ、「やくも」の車両としては、実に40年ぶりのリニューアルだ。

座席の間隔も新幹線並みで、西日本の在来線では最大級の広さ
座席の間隔も新幹線並みで、西日本の在来線では最大級の広さ

TSKさんいん中央テレビ・作野俊介記者:
こちらが自由席。座ってみますと、座り心地いいですね。足元は広くなっています。また、窓も大きく、いい景色が見られそうです。

「麻の葉柄」を採用された普通席シート
「麻の葉柄」を採用された普通席シート

緑と青が映える普通席のシートには、伯備線沿線の自然と風土をイメージした「麻の葉柄」を採用し、体をしっかりと支えるバケットタイプで、ヘッドレストの位置も調整可能。座席の間隔も新幹線並みで、西日本の在来線では最大級の広さだ。また全ての席にコンセントが完備された。

富と長寿の象徴とされる亀の甲羅をイメージした
富と長寿の象徴とされる亀の甲羅をイメージした

グリーン席はオレンジ色を基調に、富と長寿の象徴とされる亀の甲羅をイメージした「積石亀甲」で、縁起の良いデザインだ。

在来線で初導入セミコンパートメント

JR西日本の在来線特急で初めて導入された“セミコンパートメント”。

4人掛けのセミコンパートメント
4人掛けのセミコンパートメント

グループ、家族向け座席で、1車両の半分のスペースに4人掛けと2人掛け、2つのタイプが用意された。緩やかな仕切りで適度なプライベート空間を確保。

フラットに変更することもできる(写真は2人掛けシート)
フラットに変更することもできる(写真は2人掛けシート)

座席をフラットに広げると、足を伸ばして、くつろぐことができる。
このほか、フリースペースや車いす用スペースが設けられたほか、防犯カメラも設置され、安心で快適な車内になった。

JR西日本・関谷賢二車両部長:
コロナ禍で、長らく鉄道の旅ができなかった。リアルな鉄道の旅を楽しんでいただくということを一番期待しております。

“酔いやすい電車”返上へ

ところで、「やくも」といえば気になるのが乗り心地だ。

“酔いやすい電車”と呼ばれている特急「やくも」だが、新型車両では、カーブで車体を傾ける「振り子」方式も進化、新しい制御方式が実用化され、乗り物酔いを最大23%改善したという。

40年ぶりのフルリニューアルで”酔いやすい電車”のレッテル返上へ。特急「やくも」の新型車両は、2024年春以降、順次導入される。

(TSKさんいん中央テレビ)

TSKさんいん中央テレビ
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