秋篠宮家の次女・佳子さまは、9月30日、宮城県仙台市の東北大学で開催された「女子大生誕生110周年」の記念式典に臨まれました。

新型コロナから復帰後、初のご公務に

9月23日鳥取県を訪問された佳子さまは、翌24日に新型コロナウィルスへの感染が確認。そのまま滞在先のホテルで療養されていた佳子さまにとって、復帰後初めての公務となりました。

コロナ感染直後ということで、佳子さまは、大事をとってマスクを着用して臨まれました。

女子大生誕生110周年・文系女子大生誕生100周年記念式典(9月30日、宮城・仙台市)
女子大生誕生110周年・文系女子大生誕生100周年記念式典(9月30日、宮城・仙台市)
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110年前の大正2年(1913年)8月、初めて女子学生の入学を認めたのが東北帝国大学、今の東北大学でした。

入学試験に合格した女子学生は3人。黒田チカさんと丹下ウメさんは化学科、牧田らくさんは数学科に進学。のちに3人は、日本の女性研究者のパイオニアになるなどそれぞれの分野で活躍をしています。

黒田チカさんは大学卒業後にイギリス留学。その後、理化学研究所に所属し、タマネギに含まれるケルセチンの研究などで業績をあげる(東北大学史料館 所蔵)
黒田チカさんは大学卒業後にイギリス留学。その後、理化学研究所に所属し、タマネギに含まれるケルセチンの研究などで業績をあげる(東北大学史料館 所蔵)

女子学生誕生の歴史が紹介された記念式典で、佳子さまは、おことばを述べられました。

「男性に限定されていた受験資格を女性にも拡大するという方針には、当時の政府から疑問が出されました。それでも優秀な学生を集めるため、東北大学が、女性を受け入れるという方針を実行したことは、大切な一歩だったと感じます」

そして、佳子さまは、理工系を専攻する女性が少ないことに触れ、その背景に社会が作り出す雰囲気があると指摘されました。

「偏見が作り出す社会の雰囲気や圧力は、あらゆる状況で数多く存在します。理系に関するものや、女性に対するものだけではありません。そして、そうした雰囲気や圧力が、社会が個人の可能性や選択肢を制限したり、個人が自分自身の可能性や選択肢を制限したりすることにもつながっていると感じます」

さらに、東北大学が行っている多様性を尊重する取り組みを紹介し、ジェンダー、年齢、障害、民族などの壁を越え、各分野で能力をさらに開花させる社会づくりの必要性について述べられました。

「同質な集団で、同じような考え方ばかりを共有するのではなく、いろいろな人が力を発揮し、意見を交換できる環境であることは、非常に大切です。このような環境では、新しい視点や価値観を歓迎し、あたりまえと感じていたことに疑問を持って、これまでになかったものを見出し、つくり出すことができると思います」

「誰もがより幅広い選択肢を持てる社会になること」を改めて願われた佳子さま。

引き続き行われた「記念プログラム」では、日本初の女子大生3人の功績についてトークセッションが行われ、熱心に耳を傾けられました。

式典後には大学院生とご懇談

式典後には、東北大学の大学院生5人とご懇談。5人は学生組織「東北大サイエンス・アンバサダー」のメンバーで、中高生に科学の楽しみを伝えるため、出前授業などの活動を行っていると聞き、「研究の面白さをどのように伝えていますか」などと質問されました。

また、それぞれの研究内容について「素晴らしいですね」「価値ある経験ができているのですね」などと声をかけ、エールを送られました。
(「皇室ご一家」10月15日放送)