前節は“元祖”静岡ダービーと言われるジュビロ磐田との一戦を制し、再び2位へと浮上した清水エスパルス。選手たちには広報部員が「ここ数年記憶にない」と話すほど長い4日間のオフが与えられリフレッシュした。

残り4試合 指揮官は最後まで競争促す

清水エスパルスにとっての至上命題、それは「1年でのJ1復帰」にほかならない。リーグ戦の残りは4試合。現在2位につけていることから、すべてに勝利すれば文句なしで悲願達成だ。

今季のエスパルスは開幕から5試合連続で引き分けの後2連敗とスタートダッシュでつまずいた。過去に開幕7戦で勝ち点を5しか積み上げられなかったチームがJ1に昇格した例はなく、目標を諦めかけたサポーターも少なくなっただろう。

だが、熱血漢の秋葉忠宏 監督がチームを率いるようになってからチームは着実に成長し、今では“これまで誰も成しえなかったこと”への挑戦が出来る立場になり、監督自身も意欲的だ。

シーズンも最終盤。エスパルスとの勝ち点差が5かつ消化試合が1試合少ない町田が圧倒的に有利な状況に変わりないが、直近5試合で1勝2敗2分と思うように勝ち点を伸ばせないでいる。

反対に2カ月前までは11位ともがいていた千葉は、前節こそ水戸に引き分けはしたものの、第31節の藤枝戦から怒涛の7連勝で今では5位につけている。

また、21位とJ3自動降格圏内に沈む大宮もここのところ3連勝と、これまでの順位とは比例しない飛躍や停滞が突如訪れるのがリーグ終盤戦のおもしろさでもあり、怖さでもある。そして、それはエスパルスにも当てはまるかもしれない。

だからこそ、秋葉監督は2位に立っていることが緩みにつながらないよう、改めてチーム内に競争を促している。常に調子のよい選手が試合に出るという原則論を持つ指揮官は「ダービーに勝ったからといって次にそのメンバーで行こうとは思っていない。ピッチで自分の正しい姿を表現した者が出る」と言い切る。

10月13日で48歳になった秋葉監督。あの場所へ帰るため。“AKB48”の手腕やいかに。

秋葉監督「恩返しはJ1に行くこと」

-10月13日で48歳の誕生日を迎えての感想は
清水エスパルス・秋葉忠宏 監督:
この歳になって、こうして誕生日を祝ってもらうことはないと思っていた。幸せだと思う。あたたかな方々に恵まれている。あとはしっかりと恩返し、清水エスパルスがJ1に行くことだと思っている。それを達成できるように、あと1カ月頑張りたいと思う。

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-グラウンドでは選手が祝っていた
清水エスパルス・秋葉忠宏 監督:
北爪 スイーツ部・部長自らがプロデュースしたケーキをセレクトしたらしい。ちょっとだけ食べたが美味しかった、めちゃめちゃうれしかった。

-48歳になった自覚は
清水エスパルス・秋葉忠宏 監督:
もっと大人になっている予定だったが、何か「15歳ぐらいから変わらないな」という感じ…精神年齢が変わっていない感じで、年齢を経てお腹も出てきたし(笑)

冗談はさておき、これから日本のサッカーを支えていく人材に、一緒になって自分も成長できるように、改めてもっと精進して行こうと思える48歳の節目となった。

-この1年をどのような年にしていきたいか
清水エスパルス・秋葉忠宏 監督:
日本のサッカー界が良くなったり、選手が成長したりすることが一番うれしいし、それが仕事にもなっている。

少しでもそういったところに貢献できるように、目線を高く上げながら、ただ選手、チームだけでなく、日本がどう世界に勝つのかが、一時 代表をやらせてもらった意義であり、責任だと思うので、そういったことも見せながら、エスパルスから代表選手を出すとか、このクラブが世界に打って出ることができるようになるとか、高い目標を持ちながらやっていく1年にしたい。

もちろん何年で出来るかわからないが、常にその心意気を持たないと今まで接してくれた方々に失礼だと思う。終わったときに笑っていられるような1年にしたいと思う。

-家族からは?
清水エスパルス・秋葉忠宏 監督:
妻・娘からは電話連絡があった。息子は薄情…?なかった

-10月14日は練習が非公開から公開となった
清水エスパルス・秋葉忠宏 監督:
ゲームをやる。最後に選手間の競争のフェーズに入った。これまで悔しい思いをしてきた選手がいる。

安定は衰退と思っているので、誰がレギュラー争いに割って入ってくるのか、また、いま出ている選手も簡単に渡しては話にならないと思うので、そうやって成長スピードや成長角度が落ちないように、正しくハイレベルな競争をできるように、選手にとってはつらいと思うが、思いっきりシャッフルして競争してもらいたいと思う。

-残り4戦に向けてやらなければならないこと
清水エスパルス・秋葉忠宏 監督:
磐田とのダービーで出来た守備のところは、あれがスタンダードになるように。それは選手からも出ていたが、さらにレベルアップできるように、もちろん下回ることがないように。

あわせてオフェンスのクオリティーをどれだけ上げられるか。藤枝戦で負けたのは自滅だと思っている。自分たちの止める・蹴る・運ぶのところであまりにもミスが多く、崩されたわけではない。それは自分たちが崩れたということ。インテンシティや戻る速さ、身体を張ることを含め、それがないようにしなければいけない。

「超攻撃型」をうたっているチームとして、3点、4点、5点と獲れないとおもしろくないし、エスパルスでない。もう一度そこに焦点を当てたい。

ダービーに勝ったからといってあのメンバーで行こうとは思っていない。ピッチで自分の正しい姿を表現した者が出ると思っている。その方針は42節まで変わることがない。正しくハイレベルな競争を促したい。

-普段、甘いものは
清水エスパルス・秋葉忠宏 監督:
食べない。いただくことはできるが、自分からは絶対食べない。だからスイーツ部の北爪選手はすごいと思う(笑)

(テレビ静岡 報道部スポーツ班・外岡哲)

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